ただずっといちゃいちゃしてるだけ【黒子のバスケ】

お姫様は選択肢を間違えてしまった。【黛千尋】 ページ9

＿＿＿＿この世の神様はどうしてこうも不公平なのだろうか。


人間才能は誰しも平等だなんだというどこかの宗教の人間がいるが、どう考えてもあれは嘘っぱちだ。

なにせ俺＿＿黛千尋のいる洛山高校には、神の領域に達しているとすら思えるレベルの天才が二人もいるのだから。

1人は御存じ、赤司征十郎。運動もできれば勉強も常に上位。容姿も完璧で、多重人格の片っぽは紳士的な性格。赤司グループとかいうクソでかい会社の御曹司で、負けたことがないとかいうふざけたことをぬかす一年坊主だ。
どこの二次元のアニメから飛び出てきたんだよと文句の一つも言いたくなるくらいのそのキラキラ王子様は、一部の女子から「赤司様」なんて呼ばれているらしい。


そんな赤司王子様には、当然、この世のモノとは思えないほどの美少女が常に隣にいた。

その名は蘇芳A。彼女は、赤司が天才一号なら、天才二号だろう。

スタイルがよく、手足はすらりと伸びていて。肌は真っ白で瞳の色は透き通るように綺麗。
おまけに運動神経抜群、成績優秀、家は目が飛び出るほどの金持ちで、コミュニケーション力すら身に着けている……という、ドチートな人間だ。

ファンタジーの世界から迷い込んできたような、その超絶世の美少女はやはり「A様」なんて呼ばれていて。

赤司征十郎が王子様なら、蘇芳Aはお姫様。

誰もが文句を言うことができないほどの完璧、ドチート、高嶺の花どころではないレベルで上の上のまた上にいるその二人は、傍から見れば麗しすぎるお似合いのカップルだった。




＿＿＿＿＿＿が、此処で一つ問題が生じる。




その問題とは、お姫様である蘇芳Aがあまりにもイレギュラーだったことだ。


お姫様ならお姫様らしく、王子様のキスを黙って眠って待っていればいいものの、
この女はデキは良い癖に、「良い子で待っている」なんてガキでもできることができないほどの行動派肉食系女子だった。


そう、王子様がお姫様の前に現れるずっとずっと前に、自分の喉につっかえている毒リンゴを素手で取り出すくらいには、行動派だったのだ。



そして、あろうことか王子様が登場する前に、森の中だけでなく街やら海やらをうろうろ散歩して



まさかの。





「黛先輩！大好きです！！！」




お姫様が「村人A」を好きになってしまうとは、誰が想像しただろうか。

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