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いきなり腕を掴まれ、引きずり込まれ、挙句の果てには布団に放り投げられた彼女は、さすがに顔をあげて眉をきっと持ち上げていた。

熱のせいか涙がたまっており、少し揺さぶれば雫が零れ落ちてしまいそうだ。



「花宮くん……私の話、聞いてましたか」



上半身を起こし、睨みつけた先は同じく彼女を睨みつける俺の姿。俺が彼女を睨んでいることに解せないという顔色を加えたが、俺には当然のように感じた。

人が看病してやるっつってんのに、この頑固女……ふざけんな、と玄関先で喉から飛び出そうになる言葉を抑えていたのだ。たとえ今俺の顔が般若のようになっていようが全てはアイツのせいだろう。


無言で彼女を睨みつける俺に、Aは追い返そうとでも思ったのか、右手を変な柄の布団に着ける。ハァ、とため息が出るのも当たり前である。



「寝てろっつってんだろ」



重い体を持ち上げるようにのろのろと体を起こす彼女の腕を、もう一度掴んではひっくり返した。

わっと色気のない声を上げてもう一度布団に倒れこむ彼女の姿は実に弱弱しい。もう起き上がろうとする体力も気力もないのか、小さく唸り声をあげては身を布団に沈めた。

息苦しそうな呼吸が続き、何度かせき込んでから俺を恨めしそうに見上げる。




「……はなみやくん……かえってください。」



「嫌だね。お前が鼻詰まった姿をインスタに載せるまで帰ってやらねぇよ」



「さい、てー……です」




布団に手をつき、もう一度起き上がろうとしても、もう体が言うことを聞かないのだろう。

汗ばんできた頬や首を枕にぼふりと預け、もう限界だというようにそこからしばらく動かなくなった。

しかし、寝ているわけではなさそうだ。荒く苦しそうな呼吸ののちに、また「はなみやくん」と諦めの悪い帰れコールが再び行われる。「お願いです帰ってください」「鍵は開けたままでいいですから、かえってください」

何度も続く掠れた声での懇願に、こめかみの辺りに青筋が浮かぶのが自分でも認識できた。


スーパーの袋を投げ起き、まだ帰ってという彼女のもとにずかずかと歩み寄る。

もう一度その華奢な腕を引っ張り上げて、体をひっくり返せば、顔がゆでだこのように赤くなった姿がさらされた。




「え……なん、です……っ?」



「黙って寝てろ」



「わっ……!?」




赤くなった瞼に、掌を無理やり押し付ける。

熱すぎる熱が掌から直接伝わってきた。

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鎖月零(プロフ) - Flower*さん» flower!ありがとうございます!!短編の夢主は同じ夢主で書くのが普通だということを今の今まで知らなくて……全員バラバラにしてしまいました(笑)私も短編の方が書きやすくて軽くかけるので楽しかったです!続編頑張ります! (2018年2月26日 18時) (レス) id: e5c976073b (このIDを非表示/違反報告)
Flower*(プロフ) - 1完結(?)おめでとうございます!甘々で読んでてドキドキしてしまいました(*ノωノ) それぞれのお話の夢主ちゃんたちも個性豊かで面白し、何より短編なので読みやすいです。やっぱり零すごい……。続編の方も首を長くして待ってます! (2018年2月24日 0時) (レス) id: 4d95f4e8a2 (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» めっちゃ楽しみにしてます!!! (2018年2月18日 18時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - 黛パフェさん» うそぉ……本当に恥ずかしいです(笑)規制かかる系の甘々はあまり得意分野ではないのですが、楽しんでいただけると幸いです……!甘くなるように頑張ります (2018年2月18日 18時) (レス) id: a33d034fdf (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» 今でもたまに見たりしますよ!黄瀬くんの好きですー!規制とかあまり気にしないタイプなので別のアカウントで見に行きますねー! (2018年2月18日 1時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鎖月零 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年12月17日 17時

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