ただずっといちゃいちゃしてるだけ【黒子のバスケ】

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「えぇ、でも花宮って去年インフルエンザB型もA型もかかったじゃん」


「ついでにマイコプラズマにもなっていたな」


「今年は扁桃炎になって辛そうだったしなぁ……。あ、インフルエンザAB型が流行してるから気をつけたほうがいいぞ」


「無駄無駄、ウチのキャプテンは予防注射してもかかるから。」


「てめぇら、なんでそんな無駄なこと覚えてやがる」



確かに俺は昔からなぜか病気にかかりやすく、毎年かかさず予防注射をしてもインフルエンザはA型とB型両方かかるような人間だが、記憶する必要のない情報だ。

わざわざ覚えているコイツらは無駄に記憶力がいいことと、性格がひん曲がっているためなんでもいじるネタにするのを忘れていた。ひとつ咳払いをしてメンバーを見渡す。

そして得意げな顔で片手に荷物をもって笑った。



「ハッ今年はもうインフルエンザになったからならねぇんだよ、バァカ」


「威張るとこじゃないよね〜」



性格の悪い軍団はそう言って俺を馬鹿にするように笑い、ついでに山崎の買い物リストに問答無用で付けたしをしていた。

おいふざけんな、と焦り気味に言う山崎に対して、原がにやにやと笑う。
やたら綺麗な字で「りんごジュース」と書かれた文字の下には、書きなぐった汚い文字で何やらつらつらと書いてあった。

そして、しまいにはそのメモ用紙を山崎の手から抜き取ると、上から下までそのリストを眺めてまた笑い、なぜか俺に紙を突き出した。

意味がわからねぇ。




「まぁ、そういうことだし」


「どういうことだよ」


「ウチのキャプテンはもうインフルならないんでしょ？なら、お見舞いは必然的にキャプテンだけになるってワケ。
さっき行きたいって言ってたしね」



ぼさぼさで目の見えない髪の下で、にっこりと笑っているのが容易く想像できる。

確実に面白がっておちょくっている時の顔だ。何か企んでいるのは易々とわかったが、そのたくらみにのったところで俺には不利益がない。あの女の見舞いと称してアイツのへばっているところを笑いに行くのは変わらないのだから。


差し出されたメモ用紙を難なく受け取る。

ルーズリーフの切れ端で書かれたそのメモ用紙は、やはりお使いリスト。山崎の書いたものから原や瀬戸、古橋の書いたものまである。

その中身は特に見ずに、俺はその切れ端をポケットに突っ込み、口の端をにやりとあげながら踵を返した。




あのマネージャーの弱った姿を見るのが、楽しみで仕方なかった。

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