ただずっといちゃいちゃしてるだけ【黒子のバスケ】

その傷口は愛の証【赤司征十郎】 ページ17

「赤司グループ」という名は今や世界中にも知れ渡っているほどの大企業だ。
京都に社を持ち、国の看板ともいえる立ち位置にいるほど。

そのグループの支配下でありつつもほとんど対等の同盟関係にあり、主に国際的な仕事を担っているのは「花京院」というグループである。


赤司グループの社長の子供には、全てを完璧にこなし、全てに勝利するという長男が。

花京院グループの社長の子供には、海外でも通用するスペックを持ち、天才的な頭脳を持つという長女がいた。


両家はほぼ対等な権力を持つグループ。トップは確かに赤司だが、花京院も名が高い。この国では堂々と2位だと呼べるくらいに。

そうなれば両家が考えることは一つしかない。この二人を夫婦として結ばせることだ。
花京院グループが手から離れることは赤司グループにも大きな喪失となるし、逆もまたそうだ。企業的に考えればそれが普通。それが当たり前。幼いころからどちらもわかっていたことのはず。



もちろん俺＿＿＿＿赤司征十郎もそのことは重々承知していたし、父親の言う通りに従うつもりだった。会社を継ぐために自分は育てられ、生きてきたのだから。

それは花京院家の長女である、花京院Aも同じ思いであると、どこかでそう思ってきた。




＿＿＿＿＿＿が、どうしてこのようなことになったんだ。





シン、とどこか静まる痛いとすら感じる空気の中、目を見張り、一人の少女を見つめながらも、脳裏でそう思わざるを得なかった。

誰もの視線が、彼女一点へと向いていた。そう、彼女…………花京院Aへと。





「こんな見合い、やってらんないわ。
私はあれほど何回も嫌だといったでしょう」





彼女は赤い瞳をぎらりと怒りを灯し、彼女の父と、俺の父へと睨みつけている。

燃え盛る炎のような瞳に宿る意志は強い。どこまでも、強く強く彼らに訴えている。






その証拠にとばかりに



＿＿＿＿＿＿彼女の肩にはステーキ用のナイフがぐっさりと刺さっていたのだ。




　

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