要らない子 90人 ページ45
松代「………そう」
松代は少し思案した後、口を開いた。
松代「よく言えたわ、一松。でもあなたがした事は許されないことよ。それは分かるわね?」
涙を拭って頷く。
心臓が落ち着かない。
松代「まずAに謝ることよ…それで済むわけじゃないけど、そこからAの力になれるよう、あなたなりに頑張りなさい」
松代「お兄ちゃんでしょ?」
一松「……うん……っ」
しゃくりあげが治まらない一松の背中を優しく撫でると、話し出す。
松代「前々から、様子がおかしかったのよ」
一松「…へ……」
松代「『どうしたの?』って聞いても、頑として教えてくれないし…いじめかって言うと、それは無いって。学校まで行ったんだけどねぇ…学校側は、“何も無い”の一点張り。……母親のくせに、こんな時にも力になってあげられなくて」
自虐的な笑みを浮かべて、また寂しそうに眉を下げる。
松代「Aはね、絶対に何も知らないフリをして欲しいって」
一松「…」
『そうじゃないと、私はもっと困るの。だからお願い、誰にも言わないで。お母さんは、私の心の拠り所になって欲しいから』
松代「一松。母さん、情けないけど、あの子の力になれなかった。…………だから、」
向き直って一松の肩を掴む。
松代「あの子を、助けてあげて……」
いつもしっかり者で温かくて、家を支える母さんが懇願する姿に、責任感と使命感を覚えた。
俺が、やらなきゃ
一松「うん……分かった。俺、なりに……頑張る」
我が子を慈しむ母親の顔で一松を見ると、松代は手を離した。
松代「私の娘を、よろしくね!」
一松「なに私のって……独り占めしないでよ」
松代「そう思うなら頑張んなさい!」
一松「へーい」
ちょっとだけ、笑って話すことが出来た。
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しらたま - うぐっ...泣いてしまいました...。デカパンいいやつ...。あっ、おそ松推しです。 (2021年7月23日 11時) (レス) id: 24987e1d85 (このIDを非表示/違反報告)
likk - デカパンいいやつ (2019年5月29日 18時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
絢斗 - 絢斗「ごめんね兄さん達…本当はあんなことしたくなかった…ッ担任の樋崎に言われたんだ。『兄弟を○す』って。ごめんね大切な兄さんたち。」 (2019年4月15日 17時) (レス) id: 936fc60342 (このIDを非表示/違反報告)
絢斗 - はーい絢斗本人だよ…。 ただ自分の名前を絢香→絢斗にしただけ。 ちょっとなんかこの小説読んでたら泣けてきた 応援してます。 頑張ってください (2019年4月15日 17時) (レス) id: 936fc60342 (このIDを非表示/違反報告)
しょうどうぶつ(プロフ) - yurizuさん» ぐはっ(バタ)←気にしないでください (2019年3月31日 21時) (レス) id: 6b43d9f71a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yurizu | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2017年4月2日 23時