要らない子 74人 ページ29
カラ松side
アイツが部屋を出てから、俺は後をついて行ってみた。
あんな奴の事だから、何をしでかすか分からないからな。
…でも、少しアイツを信じている所もあるんだ。
本当は、元々は優しいやつだったから。
あんなことまで言うとは、俺も考えられない。
襖の前に着いた時、父さんと母さんがAに言葉をかけるのが聞こえた。
松代「生まれてこない方が良かった、なんて、ねぇ?」
…!?あいつ、俺のことを告げ口したのか!?
そう思って怒りが再発し、頭に血が上った俺に聞こえてきたのは、父さんと母さんの声と、アイツの泣き声だった。
松造 松代「生まれてきてくれてありがとう」
A「あ…うぁあぁあ…あぁあああぁあ」
A「ありが…とぉ…父さ…母さ、ん…」
アイツが、泣いている。
あの日から1度も涙を流さなかったアイツが。
…いや、違う。
涙を見せなかった。
きっとアイツはどこかで泣いていたんだ。
1人、声を押し殺して。
怒りが沈んだ俺は、そっと手を引き、居間に続く廊下を戻った。
今更ながら、十四松の言葉が重く俺にのしかかる。
───裏切ってないよ。兄さん達が間違ってるだけ。僕は正しい方に進んだだけだよ───
───僕は知ってるから。Aの事を。──だからAは、僕が守るよ───
あぁそうか。あいつは、十四松は知っていたんだな。
アイツ──いや、Aが、1人で悩んでいることを。
1人で泣いていることを。
全く…かっこいいなぁ、brother?
それに対して俺は、本当に駄目な兄貴だな。
でも、俺がAを信じたことは、兄貴や他の弟達には言わない方がいいだろう。
Aが何をされるか分からないしな。
ずっと目を伏せて考えていた俺は、居間の前に立ち、覚悟を決めて顔を上げる。
今の話をしよう。
それで兄貴や弟達が考えを変えてくれるかは分からない。
変えてくれないなら…俺と十四松で、Aを守るべきだな。
よし、と小さく呟いて、俺は襖を開けた。
カラ松「話があるんだ…少し集まってくれないか、brother?」
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しらたま - うぐっ...泣いてしまいました...。デカパンいいやつ...。あっ、おそ松推しです。 (2021年7月23日 11時) (レス) id: 24987e1d85 (このIDを非表示/違反報告)
likk - デカパンいいやつ (2019年5月29日 18時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
絢斗 - 絢斗「ごめんね兄さん達…本当はあんなことしたくなかった…ッ担任の樋崎に言われたんだ。『兄弟を○す』って。ごめんね大切な兄さんたち。」 (2019年4月15日 17時) (レス) id: 936fc60342 (このIDを非表示/違反報告)
絢斗 - はーい絢斗本人だよ…。 ただ自分の名前を絢香→絢斗にしただけ。 ちょっとなんかこの小説読んでたら泣けてきた 応援してます。 頑張ってください (2019年4月15日 17時) (レス) id: 936fc60342 (このIDを非表示/違反報告)
しょうどうぶつ(プロフ) - yurizuさん» ぐはっ(バタ)←気にしないでください (2019年3月31日 21時) (レス) id: 6b43d9f71a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yurizu | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2017年4月2日 23時