光を求める少女の話 【文スト】【黒の時代】【太宰治】

第八十六話＿"前に進む" ページ49

．


太宰「初めてじゃない？Aがお酒飲むの」


A「……うん、初めて」


何時のバーで何時の席に座って太宰は何時のお酒を


Aは初めて牛乳ではなく三人が飲んでいたお酒を頼んだ


太宰「"覚悟"は出来たかい？」


A「うん」


太宰「心残りは？」


A「………」


頭の中で色んな人の顔が思い浮かんできた


相棒である芥川
彼とは美術館を最後に会っていない
自分の事を嫌っているのは知っているが出来れば最後に話をしたかった


姐さんは何時でも優しかったし一緒に居て楽しかった
沢山、着物を着させてくれてお茶も美味しかった
贈品でくれた傘は私の宝物の一つでもある


中也は気に掛けてくれていた
太宰と一緒に居るときはあまり話し掛けてこなかったけど
姐さんと一緒にいる時とかはよく話し掛けてくれた
自分を殺そうとした相手なのに私の事を誰よりも心配してた


心残り何て沢山ある
でも、それでも……私は……


A「前に進むって決めたから。だから大丈夫」


太宰「後悔しない？」


A「するわけない」


太宰はAの言葉にクスッと笑う
そして彼は何時ものようにグラスを持つ


A「………」


真っ黒に汚れている経歴と幾人もの人を殺め血で染まっている手


何度も云い聞かされてきた『産まれた時からお前は黒だ』と


でも貴方が云ってくれたから
誰よりもマフィアが似合わなくて
人殺しが似合わない男が


＿＿『お前に人殺しは似合わない』


＿＿『佳い人間になれ、弱者を救い、孤児を守れ』


そう云ってくれたから私は少しでも貴方が望んだ私になれるように"前に進む"


『人は殺さない』この約束を心に身体に刻み込む


あっち(光)で上手くやっていけるか分からないけど
＿＿"太宰が隣に居てくれるなら"
きっと大丈夫


だから見てて、織田作
何時かそっちに逝った時に胸張って貴方と会える私になるから



＿＿「「ストレイドッグに」」


カランとグラスの中にある氷が音を立てながら二人は乾杯する



















其れから間も無く、太宰治、里見Aはポート・マフィアから姿を消した



そして彼らは四年後………



武装探偵社の社員として



＿＿＿"人を助けている"

続編→←第八十五話＿"俺はお前達の友達だからな"

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す