光を求める少女の話 【文スト】【黒の時代】【太宰治】

第八十二話＿"最期の約束" ページ45

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孤児達の話は織田作から聞いたことがあった
彼が孤児達の話をするときは楽しそうに話すから



＿＿織田『何時かお前にも会わせたい。其の時は仲良くしてくれるか？』



其の時の私は頷くこともしなかったけど織田作の顔は今でも覚えてる


太宰『織田作は敵の本拠地に向かった

私では止められなかった

でも、きっとAなら……

君の言葉なら織田作は聞いてくれるかも知れない

だから頼む、A

どうか織田作を＿＿＿＿』


"止めてくれ"
其の声が聞こえる前にAは中也に電話を返し走り出した


中也「………皮肉なもんだよな。Aを向かわせた処で彼奴は止まらねぇってのによ」


もう見えないAの背中と電話が切れた携帯を見ながら中也は呟くのだった




＿＿＿
＿＿
＿




雨のせいで視界が悪く、髪も服もベタベタして気持ち悪い
でもそんなこと今はどうでもよかった
早く彼の元へ行きたくて、早く彼に会いたくて


A「織田作！！！！！」


織田「ッ！！？」


傘も差さずに歩く織田の後ろ姿を見つけAは叫ぶ
織田は悲しい顔をしながらAの方に振り向いた


A「行っちゃだめ！！」


織田「‥‥‥」


A「お願い、行かないで

太宰がきっと考えてくれるから

私も頑張るから

だから、だからッ！！！」


織田「A‥‥‥」


荒い息遣いで必死に伝えるA
もうこれ以上、自分の前から消えないでほしい
居なくならないほしい、離れていかないでほしい
‥‥‥死んでほしくない


織田「ごめんな」


A「ッ！！」
　

織田「A、お前はもう人を殺すな」


A「え‥‥‥？」


織田「お前に人殺し(マフィア)は似合わない」


A「ッ‥‥‥」


織田「お前は境遇が悪かっただけで本当は人を殺すことが似合わない心優しい女の子だ」


A「そ、んなこと‥‥‥」


織田「だから、この件が片付いたらポート・マフィアを抜けるんだ」


A「それなら、‥‥‥織田作も‥‥」


織田「其れは無理だ」


A「ッ‥‥‥」


ギュッと強く服を握り締める
織田作を行かせたくない、でも自分じゃ止められない。どうしたら、どうしたらッ‥‥


織田「ごめんな、A。此れがお前と俺の最期の"約束"だ」


A「あっ‥‥‥！」


前を向き直し歩き出す織田にAは手を伸ばすがその手が届くことはない
遠くなる織田の背中を見ながら膝から崩れ落ちる


A「‥‥‥‥‥‥だ、ざい」


縋る想いでAは立ち上がり彼の元へ走り出した

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