光を求める少女の話 【文スト】【黒の時代】【太宰治】

第六十二話＿銃撃戦 ページ24

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常に二人に対して云うのは"行動は共にすること"、此の一言だけ


自分が口を出したら意味がないことを太宰は解っているのだ


太宰「最近、Aも傷が増えてきたねぇ」


A「………」


頬にあるガーゼを触りながら太宰は云う
ちなみに此れは敵に殺られた訳ではなく芥川に殴られたからだ


織田「その傷どうしたんだ？」


太宰「敵に殺られた訳じゃないよ。喧嘩……？かな」


織田「喧嘩？」


A「………」


織田「どんな喧嘩をしたか知らんがお前は女の子なんだから、顔に傷を作るのは善くないぞ」


A「……………」


織田「何で避けなかったんだ？」


A「……………命令」


織田はその言葉で"命令されたから避けなかった"のではなく
"命令されなかったから避けなかった"という意味だと解っている
だから、太宰の苦笑に織田も便乗する


織田「A、さっきも云ったが女の子が気安く顔に傷を作るもんじゃない

折角の可愛い顔が台無しになる

此れからは"命令されなくても"避けること

俺と太宰、三人で約束だ」


そう云うと二人は小指をAの前に差し出す
Aもゆっくり自分の小指を出し三人で指切りをする


織田「そういえばお前も怪我増えてないか？」


太宰「聞いてよ！織田作！

今日ね銃撃戦があったのだよ。機銃つき幌車で武装した元気な集団と！

倉庫内で撃ち合いになった」


織田作「それは随分な装備だな。怪我もその銃撃戦で負ったものか？」


太宰「その途中でトイレに行きたくなって急いだら排水溝で転んだ」


織田作「そうか、急いでいたなら仕方ないな」


太宰「………仕方ないねぇ」


太宰はつまらなさそうに氷を突きながら云った


太宰「ちなみにそいつらは罠を張って軽く小突いたら泣いて逃げて行ったよ

五円玉の用にパッとしない連中さ

お陰でまた死にそびれた」


ポート・マフィアにはこういう言葉がある


『太宰の敵にとって一番の不幸は太宰の敵であること』


彼が打ち立てた闇と血のリストを見ればマフィア内の人間でも震え上がる


マフィアになる為に産まれてきた男と云っても過言ではない


太宰「ああ〜！もうっ！！何処かに簡単で安心な自さつ方法はないかなぁ！！」


織田「ないだろ」


太宰「織田作、人は死を恐れそして同時に死に引き付けられる

街で文学の中でも、死は繰り返され消費されていく

何者にも変換不能な一回限りの死、それが私の望みだ

と云う訳でマスター、洗剤を一杯」


「ありません」


太宰「ないのか……じゃあ洗剤ベースのカクテルを」


「ありません」

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