よし、番外編へ行こう。と思った今日この頃。【文スト】 参。

股ドンしろ・アニヲタ様リクエスト ページ35

ふぅむ、と私は呟いた。

隣では谷崎君が地面に手を突いて、「何でこんなコトに……」と頽(くずお)れていた。そっか君慥か二回目だったな。私もう何回入ったのか忘れたレベルだぜ(と言いつつ多分そんなに入ってないと思う)。



『まぁいっちょ股ドンやりましょうや。それで済む話っしょ？』

「いつも思うんだけどなんか潔すぎじゃない！？」


某出られない部屋にて、股ドンをしろとの指令が下された。カンペキ異能力やら何やらが及ばない超次元の空間であることは理解している。戦闘系の異能でもない谷崎と共に此処を脱出することはほぼできないと言って良いし(失礼)、ならばとっととお題をクリアした方が良いだろう。

そう言ったものの、谷崎君は「えぇ」とか「う、うーん」とか弱気な声を出していた。普通の人なんだからその反応は普通だと思うけれど、二回目の部屋なのだから我慢して欲しい。


──数分後、谷崎君は真っ赤な顔で「やります」と言った。



『よし。じゃあ谷崎君、壁に凭れかかって』

「あっボクがやられる方！？ やる方じゃなくて！？」



何を言っているんだ、という目を向けると、そちらこそ何を仰ってるんで……とでも言いたげな視線が返って来た。



『だって私はやられるの恥ずかしいから』

「男のボクがやられる方が恥ずかしいよ……！」



お願いしますボクにやらせて下さい……！ と谷崎君は土下座せんばかりの勢いで私に泣きついて来たので、その役は譲ってあげた。

彼の代わりに私が壁に背を付け、それに谷崎君が覆い被さるように手を横に突く。谷崎君と私の身長差は優に十センチは超えているので、まぁ中々に見下ろされている構図になる。いや、探偵社員のほとんどが私よりも身長高いのでいつものことなんだけれど。


トン、と足の間に膝を置かれた分、普通の壁ドン(？)よりも距離が近い。私は足元をガン見してるし、谷崎君も息を詰めているような気配を感じる。やばい……谷崎君以外と体でかい……。



数十秒間その体勢だったら出られた。二人とも無言で出た。ナオミちゃんに妙に勘繰られたのはもう本当に……疲れた……。

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