黒の彼と、今の彼 弐 ページ3
「私は、四年前の私だ。……私は相変わらず生きてるのか」
「いや、待って着いてけない」
「君の今お薦めのジサツ方法は?」
「えーと……入水」
「入水……そうか、そういう方法もあった!」
「待って、じゃあ君は?私もう四年前の事なんか忘れちゃったから」
「私はね、取り敢えず任務で死のうとしてるんだけど、中々私を殺せる奴か居ないんだよね」
「銃殺か、それもいいな!今度国木田君にやってもらうか……」
『いや待てあんたら何で普通に会話してんの!?』
余りに突飛な話に、私は思わず突っ込んだ。つーか国木田さんが殺人犯になっちゃうから!止めて!
二人はそっくりの表情で私を見た。もうちょっと話していたいのに、という顔だ。
「……でも、何故私は此処に来たんだ?」
今の太宰さんが云った。すると、黒太宰さんは手を頭の高さまで上げて肩を竦めた。
「判らない。気付いたらこの河原に居て、それから凪ちゃんと逢った」
「ふむ、……情報が少な過ぎるね」
太宰さんを此処に飛ばした人の目安はついてる。あの……アレだよ。彼奴。自称なんちゃら。
「なら、一度帰ってみよう。マフィアの情報員__そうだ、安吾に何か探らせよう!」
太宰さんの顔が強張る。既に歩き始めた黒太宰さんはそれに気付かない。
「……君は、」
太宰さんが何か云い掛けて止まった。
「……そうか、あの頃の私は__」
「如何したんだい?」
黒太宰さんが足を止め、不思議そうに首を傾げる。私はそれを見て、目を背けたくなった。
「止め給え」
「何故?」
「私なら判るだろう。私なら」
「……如何云う意味かな?」
「私の口から云わせる気か?」
黒太宰さんの表情が、段々と険しくなっていく。
私は二人の空間に立ち入れず、ただ黙っていた。
「もう判っただろう。私は既にマフィアを」
その瞬間、黒太宰さんが消えた。
太宰さんが云い掛けていた言葉を遮るかのように、居なくなった。聞きたくないというように。
「……凪ちゃん」
不意に、太宰さんは声を出した。私は慌てて応じる。
『は、はい?』
「私は、間違っていたと思うかい?」
その声は酷く弱々しく聞こえた。
私はちょっと間を空けて、太宰さんに云った。
『__間違ってても間違ってなくても、これから正しくあればいいんですよ!』
「……そうだね」
太宰さんは微笑してから、早く帰ろうとでも云うように、探偵社の方向へ足を向けた。
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とあるアニメーター - マジですか!!!ありがとうございます!お願いします! (2020年1月21日 21時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - とあるアニメーターさん» へえーいいですねえ!やらせて頂きますとも、何かかなり滅茶苦茶な展開になりそうですが……(笑)。 (2020年1月21日 18時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
とあるアニメーター - そうですか!良かったです!リクエストで、そうだ、番外編作っちゃおう!と思った今日この頃の第3段を記念して…。みたいな感じで、今日この頃シリーズで出てきた文ストキャラ達をたくさん出してほしいです!こちらも長めになって良いので、よろしければお願いします! (2020年1月21日 18時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - とあるアニメーターさん» ええ勿論!ちょっと遅くなるかもしれませんが番外編もとうとう三!……ひええマジかあ。 (2020年1月21日 17時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
とあるアニメーター - この番外編、続編行きますか? 続編作って頂けたら、またリクエストしたいです。 (2020年1月20日 21時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作成日時:2019年7月6日 21時