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『結ちゃん、今日は雨だからギャラリーの窓は閉めとこっか』
「分かりました!」
明日から合宿が始まる。
いつもなら明日に向けて気持ちが高まるのに、今日はそうもいかない。
私の心の中は、まるで今日の空みたいだな。なんて、
柄でもないことを思いながら雨が降る外を見る。
それでも、
「よーし!明日からの合宿、どこにも負けないように今日も頑張るよ!!」
「負けないで終われたら、気持ちいいわな」
バレーに真剣なみんなは、とてもかっこいいから。
そんなみんなを、支えたいから。
『頑張るのはいいけど、怪我しないでよ』
みんなの前では、笑顔でいよう。
何も、気づかれないように。
「じゃ、今日はこれで終わり。明日遅れんなよ」
「「「あざっした!!」」」
『じゃあ結ちゃん。明日必要なもの、確認してから帰ろう』
「はい!」
ボール類は結ちゃんにお願いして、私は救急セットの中身を確認する。
…あ、テーピングきれそうだ。補充しとこう。
「Aさん!」
『あ、金田一。どうしたの?』
「コールドスプレーってありますか?」
『コールドスプレー?どこか痛めた?』
コールドスプレーは、捻挫など痛めた時に急速に冷やすもの。
あいにく今はなくて、今日は明日からに備えて早く練習が終わるだろうから、帰りに買おうと思っていた。
「自主練でスパイク打ってたら、着地失敗して足捻ったみたいで」
『え、大丈夫!?…ごめん、今コールドスプレー切らしてて、冷水で冷やしててもらえる?』
「はい!そんな重くないんで、全然大丈夫っす!」
やってしまったか。
コールドスプレーで急速に冷やすより、時間がある今なら冷水と氷でしっかりアイシングする方が効果はあるだろうけど、予備を置いておくんだった。
「あれ金田一。スプレーなかったの?」
「あ、松川さん、花巻さん。今ちょうどきらしてるらしくて…」
ああ、これはまたどやされるな。
そう思っていたが、彼らが言った言葉は、私の予想を遥かに超えた。
「あーあー、俺らのマネージャーほんと使えねえなあ」
「ははっ!」
"使えない"
その言葉は、思ったより私に突き刺さった。
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にも - ずっとずっと楽しみに待ってます (2020年8月12日 13時) (レス) id: 61ca4dce83 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるしーの。(プロフ) - おれんぴーさん» そうだったんですね…。私がそのような経験をしなかったので、少々強引な展開かもしれないです…。ですが、暖かく見守っていただけると幸いです。これからもよろしくお願い致します。 (2020年5月27日 12時) (レス) id: 58b9a3f90b (このIDを非表示/違反報告)
ぷるしーの。(プロフ) - 香奈さん» 暖かいお言葉ありがとうございます!恋愛編もよろしくお願い致します! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 58b9a3f90b (このIDを非表示/違反報告)
ぷるしーの。(プロフ) - ナシロさん» ありがとうございます!!完全な新章となる続編ですが、よろしくお願い致します! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 58b9a3f90b (このIDを非表示/違反報告)
ぷるしーの。(プロフ) - ???さん» コメントありがとうございます。確かにそのような経験をした方には都合がいい展開かもしれないです。ですが、そこは夢小説のご愛嬌と暖かく見守っていただけると幸いです。これからもよろしくお願い致します。 (2020年5月27日 11時) (レス) id: 58b9a3f90b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷるしーの。 | 作成日時:2020年1月22日 2時