泣き虫少女と盗賊団 (ページ7)

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Episode156 ／キケンでピンチページ7

｢ここに俺が戻ってきた時には既にボスとマダムは死んでたさ。暗殺者にでも殺られたんだろうな。｣

『…いつ』

｢２年前｣

誰が殺した？

恨んでるやつなんて腐るほどいるだろうけど。
でも、2年前ってあまりにもタイミングが良すぎる。

そこまで考えた時、ふとヒソカとイルミの会話を思い出した。

ーー｢え。…ヒソカ？｣

｢まぁまぁイルミ♣｣

｢お前が言うって言ったから任せたんだけど？｣ーー

私がついていけなかった会話。あれはもしかしてこのことだった？

そう考えると納得が行く。

イルミや…ヒソカなら殺りそうだ。

｢まあそろそろお前を迎えに行こうと思ってたんだ。お前が憎んでたボスもマダムも死んだんだ。1からやり直そう？｣

『ふざけるな！！！』

｢良い目だ、さすが蜜月だな。｣

舐めるように見られて、全身に鳥肌が立ってガタガタと尋常じゃないくらいに体が震える。

浅い呼吸を繰り返し、ただ近づいてくるクランを見ることしか出来なかった。

(落ち着けA！！)

頭の中にテルの声が響いて、やっと目的を思い出す。

復讐だ。もう二度とこいつの言いなりにはならない。

再びベンズナイフをしっかり構えてクランと距離をとる。

｢俺とやり合うつもりか？大人しく俺に従っとけば…自我までは奪わなくて済むのに。｣

残念だよ、そう言ったクランはポケットからなにかペンのようなものを取り出した。

そして、それを持っていない方の手を私に向けた。

くる。

刹那、私の足元が爆発して崩れた。

クランの能力は、クランの体が触れている部分の延長ならどこでも爆発させることが出来るもの。

つまり、私たちが今いるこの部屋の壁や床ならどこでも爆発させられる。

爆発を避けながらクランに少しずつ近づけば、さらに大きく爆発する。

『…っふぅー』

逃げるのが遅れやけ爛れた右手を抱えながらベンズナイフで切りかかる。

避けられ、掠ったと思っても更なる爆発が次の攻撃を阻む。

テルも私の能力も使わないと決めているからこそ、勝機は薄かった。

叔父と叔母…あいつらだけだと思っていたことと、クランが生きていたこと。この二つの予想外が私を窮地に追い込んでいた。