Episode142 / 三人目の鬼ごっこ ページ43
キルは思ったよりも速くて、特に瞬発力が半端なかった。
木を行ったり来たりぴょんぴょんするから、脚力の弱い私にはすごく追いにくい。
え?鬼はキルアからだった?
一瞬で捕まったんですけどなにか?
私が地面をひたすら走って逃げていれば、キルは上から追ってきていたらしく呆気なく捕まった。
キルがいつまで経っても追ってこないなー?って思ってスピード落としただけだからね!
高低差がある所のジャンプ力は負けるけど、体力やただのスピード勝負なら私はまだ負けてない。
ジンや旅団に鍛えられてるんだ。
そこらの奴らに負けるほどぬるい修行はしてない。
特にフェイタン…こんなんでへこたれてたら、
「ワタシが修行つけてやたのにどゆことね」
とか言って、死ぬまで追いかけてきそう…
そこまで考えて、思わず乾いた笑いが漏れた。
『…馬鹿じゃん私。もう会わないって決めたのになー…はははっ』
大きくため息をついて、キルを再び追う。
八つ当たりのように、スピードを上げた。
Aは知らない。
テルがかけた暗示の期限はハンターになるまでということを。
『キル、タッチ!』
木の上から私を探していたであろうキルに、後ろからタッチする。
そして、私はそのまま木の幹にぶつかった際の反動で飛び上がった。
次は捕まらない!
意気込んで、全力で島中を駆け抜けた。
他の受験者を何人か見かけたが、ただただ驚いてるだけで特に攻撃してくる感じはなかった。
私がターゲットの人は恐らくキルがプレートを奪ったうちのどちらか。私が襲われる可能性はかなり低くなったというわけだ。
私は風下の方へと走って、川が流れている所の岩陰に隠れて数日を過ごした。
最終日前日、私は木の上でうとうとしていた。
「…や、っと見つけたぜ」
はっ、と目を開ければ物凄い形相(ご想像におまかせするが)をしたキルと目が合った。
辺りは真っ暗になっていて、キルの猫目だけが怪しげ光っていた。
幸い、キルがいるのは一段下の幹。
私は木から飛び降りるとまた全力で逃げた。
キルは猫目で暗闇に目が利く。
私も目隠しをしているときは、ずっと暗闇にいる感覚だったから特別動けないって訳では無いけれど。
しかし、ここ数日目隠しのない状態が続いていて感覚が鈍っているのも事実。
どうしよう…
夜が明ければ4時試験は終了だ。
大きな試練が私の前に立ちはだかった。
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作者名:ろりお | 作成日時:2019年8月4日 10時