第45話「お出かけ・参」夢主 ページ46
「……いろはちゃん、今のって、どういう……。」
「……知り合い、かな。」
私は笑って誤魔化す。
勿論、誤魔化しきれていないことも分かっている。
「それよりも、服屋に行くんだよね?早く行こう。時間無くなっちゃうよ?」
「う、うん……。」
納得はしていないようだが、この日それ以上敦くんは何か私に、この事について、聞いてくることは無かった。
「じゃあね、今日は有難う!また明日。」
「ううん、僕のほうこそありがとう!楽しかった!また、遊ぼうね、いろはちゃん。」
ニッコリと笑って分かれ、扉を開けると……太宰さんが抱き着いてきた。
「うわ!?太宰さん、どうしました?」
「いろは、ご飯までに帰ってくるって云ったよね?遅くない!?」
「遅くないです……ってうわ、お酒臭い……。太宰さん、もうお酒飲んでるんですか!?まだ5時ですよ!?」
「だってぇ〜〜!!」
顔をグリグリと甘えたように私のお腹辺りに押し付けてくる太宰さんを、私は苦笑いして頭を撫でる。
「とりあえず中に入りますよ、太宰さん。ご飯作りますから。肉じゃが作りますから、ちょっと離れて下さい。ね?」
「はぁい……。」
優しく撫でながらそう云うと、少し不服そうだが、太宰さんは素直に離れて下さる。
……さて、昨日野菜は切っておいたので、鍋に入れて火を点ける。
あ、そうだ、調味料全部出しておこう。
お醤油にみりん……と、あれ?
「太宰さん、ここに有った料理酒知りません?」
「え?嗚呼、これかい?凄く甘ったるくて美味しくなかった……あれ、いろは、怒ってる?」
「怒ってません。これはですね、太宰さん。料理酒と云って飲むものじゃなく、お料理に味付けとかに使うものなんです。なので、普通に飲んでも美味しくないでしょうしアルコール度数も凄く低いんです。いいですか?みりんです。買ってきてくださいね。」
「はい!!」
とびっきりの笑顔でそう云うと、太宰さんは何かにおびえた様子で即答し、すぐに財布を持って、出掛けて行った。
「……仕方ない、お砂糖で代用して作っておこう。」
私は閉じた扉を見つめながらそうつぶやき、台所に戻って料理を再開したのだった。
……が、その日、太宰さんが帰ってくることは無く……私は、待ちくたびれてダイニングテーブルの上で眠ることになる。
第46話「女王の暴走」夢主→←第44話「対元部下戦(後編)」中島敦
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業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時