第28話「黒蜥蜴」夢主 ページ29
「皆殺しだってよ。」
「非道い……。」
爆発のあった現場に着くと、野次馬のそんな会話が聞こえてきた。
……にしても、派手に爆ったなぁ、コレは……。
私がそんな事を考えていると、野次馬達の話がまた耳に入ってくる。
「軍警が言うにはマフィアの武闘派、その中でも凶暴な実働部隊『黒蜥蜴』って奴らの仕業だって。」
「黒蜥蜴、ね……。」
「……黒蜥蜴?」
私の呟きに、恐る恐るといった様子でそう問いかけてくる、敦くん。
私は頷き、其れから説明する。
「嗚呼、敦くんヨコハマに来て日が浅いもんね。マフィアの『黒蜥蜴』って言ったら、この街に住んでたら一度は聞く名前なの。戦闘術は特殊部隊並み。その上、弱者に対しては恐ろしく残忍。私でも……出来るだけ、戦りたくないなぁ……。」
そう言いつつ、軍警さんに会釈と軽く敦くんの紹介をして、中に入れてもらう。
「……成程ね。」
「何が「成程」なの?」
そう、不思議そうに聞いてくる敦くんに、私はご遺体に手を合わせてから、答える。
「この人達、所謂『運び屋』ってヤツの一味なの。確かマフィアの荷物も運んでた筈。横流しでもしたんじゃない?……それで、報復に殺された。」
「……!!何で、分かったの?」
少し感情を殺しながらそう云った私に、敦くんは驚いた様に目を見開き、更に問いかけてくる。
「……私は、共闘には向かない。だから、戦い以外で太宰さんに恩返しする為に……この街の裏社会に住む人物は結構覚えてるの。覚えれてない人も、殆どはリストアップしてる。」
私は私と賢治くんで作ったの、と付け足し、笑ってノートを見せた。
……にしても、少し派手過ぎるな。
明日辺りにでも教育し直しに黒蜥蜴を集めようか。
何て考えていた私は、すぐ後ろで、何か思いつめたように小さく呟いた敦くんの声を、聞き逃してしまった。
「……凄い。」
そう、私の背中を見て、絶望によく似た声色で呟いた、敦くんの声は……誰にも届く事無く、消えていった。
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業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時