第15話「虎探し」夢主 ページ16
「そ……それで、探偵の皆さんの今日のお仕事は……?」
「虎探し、だ。」
「……虎探し?」
私が会計を終え、戻ってくるとそんな会話が始まっている。
そして、何となく敦くんの方に眼を向けると……敦くんは、大きく目を見開いていた。
「…………。」
「近頃街を荒らしている『人食い虎』だよ。倉庫を荒らしたり畑の作物を食ったり、好き放題さ。最近この近くで目撃されたらしいのだけど……__」
その時、敦くんは恐怖に染まった顔で、椅子から落ちる。
「ぼ、ぼぼ僕はこれで失礼します!!」
「待て。」
くるりと四つん這いのまま、出口に向かおうとする敦くんを、国木田さんはいとも容易く持ち上げた。
「む、無理だ!奴__奴に人が敵う訳ない!」
慌てた様子でそういう敦くんに、国木田さんは真剣な表情になる。
「貴様、『人喰い虎』を知っているのか?」
「あいつは僕を狙ってる!殺されかけたんだ!」
その言葉に攻撃を仕掛けようとした国木田さんを制止し降ろさせて、それから私は敦くんに問いかける。
「殺されかけたんだね。じゃあ、その話……聞かせてもらえる?私達、それが仕事だから。」
私が優しく微笑むと、敦くんは渋々、と云った様子で話し出す。
「……うちの孤児院はあの虎にぶっ壊されたんです。畑も荒らされ、倉も吹き飛ばされて__死人こそ出なかったけど、貧乏孤児院がそれで立ち行かなくなって、口減らしに追い出された」
そう、静かに語り終えた敦くんは何か嫌なことでも思い出したらしく、うつむいていた。
……その時、小さな……隣にいる私でさえ注意しないと聞き逃してしまいそうな、そんな声で、敦くんはぼそりと呟いた。
「“いろはちゃん”が居たら……こうはならなかったのかもしれない……。」
……と。
「……。」
私は、その言葉で……殆ど、確信した。
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業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時