第14話「武装探偵社(後編)」夢主 ページ15
「はー、食った!もう茶漬けは十年は見たくない!」
「あのね……お礼とは言え流石にそれは私も傷つくよ?」
満足そうな顔でそんなことを云う敦くんに、私は唇を尖らせた……が、何故かスルーされてしまう。
「いや、ほんっとーに助かりました!孤児院を追い出され、横浜に出てきてから食べるものも、寝るところもなく。……あわや斃死かと」
孤児、院……?
私は“敦くん”の言葉に、手を止める。
「ふぅん。君、施設の出かい。いろはと同じだね。」
「出というか……追い出されたのです。経営不振だとか事業縮小だとかで。」
私は厳密にいうと出じゃないですけどね!!と、すかさず国木田さんに訂正しておくが、善いから早く食えと叱られてしまう。何故。
「それは薄情な施設もあったものだね。」
「おい太宰、俺たちは恵まれぬ小僧に慈悲を垂れる篤志家じゃない。仕事に戻るぞ。」
「そうしましょう、太宰さん。私も食べ終えましたし。」
私は、ほら。と、空になった器を太宰さんに見せる。
すると、太宰さんは優しく微笑み私の頭を撫でた。
其れが気持ちよくて思わず目を細めると、国木田さんに「猫か。」とツッコまれた。
「皆さんは……何の仕事を?」
敦くんは、心底不思議そうにそう問いかける。
其れもその筈。
何故なら、一見、私達には共通点が無いからである。
どんな職業でも大抵はある程度共通点があるものだ。
「なァに……探偵さ。」
格好つけてそう言った太宰さんをフォローするかの様に、国木田さんが溜息を吐き、言葉を引き継ぐ。
「探偵と言っても猫探しや不貞調査ではない。斬った張ったの荒事が領分だ。異能力集団『武装探偵社』を知らんか?」
その言葉を聞き、敦くんはハッとする。
どうやら知っているらしい。
「じゃあ……貴女も、異能を?」
敦くんは私に問いかけてくる。
「……まぁね。でも……ハッキリ言って共闘には向かないから、私は戦闘員じゃなくて……事務仕事を中心にしてるの。」
私はそう、笑って見せた。
そんな会話をしていると、太宰さんがふと話し出す。
「あの鴨居、頑丈そうだね……たとえるなら人間一人の体重に耐えられそうな位。」
「立ち寄った茶屋で首吊りの算段をするな。」
国木田さんお得意のお説教が始まる気配を察したのか、太宰さんは嘘を語り始め、挙句国木田さんがメモを取り始めてしまったので真実を伝えると喧嘩が始まってしまった。
…私、もしかして対応を間違ったのだろうか。
第15話「虎探し」夢主→←第13話「武装探偵社(前編)」夢主
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業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時