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またきっと明日はくる.49 ページ49

 
 
 
(わからない、何かがおかしいのに、わからない。)


 「オレ、は・・・・何か、忘れてる?」


Aは織田と太宰が食べ終わった皿を片付けながら考える。
ポツリと出た言葉を反芻し、見つからない答えを頭のなかに手を突っ込む感覚で考える。


 (なんでだ。
 どうしてこんなに、何かがわからないってだけで心が騒ぐんだ。)


水がシンクを滑っていく音と食器のぶつかる音を聞き流しながらAは不正確に音を刻む心臓を落ち着かせようと記憶を辿った。

 (オダさんとだざいさんってあんなに仲良かったっけ?
 最初にオレと会ったとき、オダさんだざいさんに怒鳴ってなかったっけ?
 ・・・・でも、いつも優しいオダさんが怒鳴るか?いや、でもいつも怒る時は怖かったし・・・)


 「・・・あれ?」


 (オレ、オダさんに怒られたことあったっけ)


あの雪の日、オレは、一体、誰に、抱き締められて、誰に、怒られたんだ、っけ、?
そう、だ、雪の中、で黒、いコートに雪が、つ、もってた・・・
そ、の人、は、てぶく、ろして、て、でも、背中でかんじ、た手、はあた、たかくて・・・?


 (オダさん、手袋なんて、してたっけ?)


違う…あれはオダさんじゃない…
オダさんは普段から手袋なんて着けてない…!


そう気づいた途端、心臓がドキッと嫌な鼓動を刻んだ。
心臓から嫌な予感がドクドクと全身に広がっていく。


気づいてしまった。
自分の命を拾ってくれた人が別人であることに。

気づいてしまった。
自分が大切な人を忘れていることに。

気づいてしまった。
だざいさんは、全て、知っていながら・・・


 「Aくん?」


ガッチャンっ!!!!


 「あっ・・・あ・・あ。」


いつの間にに後ろへ来ていたのだろう。
泡を流し終えた皿は水切り台へ置かれるよりも先に地面と衝突して割れてしまった。

しかしAには皿を気にする余裕はなかった。
目の前には太宰がいつもの笑みで立ち塞がっている。


 「顔色が悪いね、大丈夫かい?」


一方で太宰も割れた皿に目をやることなくAへ再び声をかけた。


 「まるで・・・・・・」

太宰の笑みはいつも通りだ。
だが、どうしてか。
いつもより黒く、濁った様に見えてしまうのは。


 (この人は、この人はいつも笑ってる。
 ずっと、こんな顔で。感情を出さないで。)


 「気づいてはいけないことに、気づいてしまった・・・かな。」




Aが最後に覚えているのは太宰の手が伸びて、視界を遮って真っ暗になった事だけだった。

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アミ - 更新頑張って下さい! (2020年3月27日 16時) (レス) id: 808cf034c3 (このIDを非表示/違反報告)
マッキー(プロフ) - 更新頑張ってください! (2018年12月23日 23時) (レス) id: 0346650c4f (このIDを非表示/違反報告)
月夜 黒輝(プロフ) - すごく難しい気が...。でも凄くい話ですね!続きが気になります!更新出来れば再開してください。お願いします。 (2018年12月15日 7時) (レス) id: 9616d08dd2 (このIDを非表示/違反報告)
魔夜美(プロフ) - 更新がんばってください (2017年5月3日 16時) (レス) id: a15b068210 (このIDを非表示/違反報告)
白蜜 - とても面白いです!! 続きが凄く気になります! (2017年2月13日 7時) (レス) id: 6cc179f9dd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いないな | 作成日時:2016年6月23日 18時

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