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#-7 ページ29

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有島Aとの出会いは、最悪とまではいかないがそこそこ悪かった

なにせ顔を合わせて早々に自分を殴れと言うのだ

これが悪いと言わずなんと言う

否、斬新だと褒め称えるべきであっただろうか

ともかく、昨日は彼女の妙な願いを笑顔で回避した


中也と共に姐さんの部屋にいたから、ただの構成員という訳ではないだろう

嗚呼、そう言えば森さんが面白い子を拾ったと言っていたような…

あの子のことだろうか…


頭の隅でそんなことを考えながら歩いていると、正面から騒がしい声が聞こえた

「だからこっちにいるって言ったじゃん」とか、「なんで分かんだよ気持ちわりぃ」だの聞こえる

誰か、だなんて考えなくてもわかるだろう




A「やぁ太宰。偶然だね」


中也「偶然じゃねぇだろ。さっさと要件すませろ」




廊下の向かいからやってきたは言わずもがな中也と例の子だ

不機嫌に眉を寄せる中也とその隣でにこやかに笑う有島A

彼女の腕にナイフが刺さっているの中也は気づいているのだろうか

彼女も彼女だ

なぜナイフが刺さって出血しているにも関わらず笑っているのか

嗚呼、そういえば最近の女学生は強かだと聞いた気がする

もしかしたら有島Aは進化した女学生なのやも…




A「見て見て中也。彼、私に刺さったナイフ見てるよ」


中也「わぁったからさっさと抜け!んでちゃんと治療しろ!」


A「わかってるって。そういうことで太宰、抜いてくれ」




ズイと目の前に差し出されるナイフ付きの腕

どうゆう訳か毛程もわからないが、矢張り有島Aは進化した女学生のようだ

腕に巻かれていたであろう血濡れの包帯の端が、袖の隙間から覗いている

かなり出血しているだろうに、真っ直ぐな瞳で僕を捉えて離さない




A「早く抜かないと失血死しそうだ」




更には催促するようにそう言う彼女

ただナイフを抜くだけで、他は何も無いと言う

ならば中也にやらせればいいと言ったが、中也ではダメらしい



A「君が異能無効化の力を持ってるからさ。私は、自分の異能のせいで痛みがわからない」


太宰「痛みがわからないのなら、自分で引き抜いて仕舞えばいいじゃないかい」



その方が佳いではないか、と言ったが首を縦に振らなかった



A「私が求めてるのは痛みだよ。君が抜いてくれれば、私はきっと激痛をとやらを感じるだろう」




「嗚呼、楽しみだ」と笑うA



進化した女学生とはなんとも歪なものだ

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作者名:エバ。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月16日 12時

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