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#11 ページ12

与謝野side


用事が済んだ太宰を医務室から追い出し、有島Aという人物と2人きりになる


太宰の話じゃどうやら彼女は既に死んでるらしい

しかし霊体かと思えば物理的に干渉できるという

それに触れた感触も普通の人と変わらなかった

ほとんど妾たちとの差はない…


ちらりと横目で椅子に腰掛ける彼女を見ると、身体を診る為に脱いだ服を着ていた

ジャケットに腕を通す時、妾の視線に気づいたのか首を傾げ見上げてくる

この子はポートマフィアで拷問を専門としていたらしい

人は見かけによらないものだ…

思わず眉を寄せるとAは口許を緩めた




A「そういえば、兎ちゃんもココにいるのでしょう?」




急な質問に思わず首を傾げる

そんな妾を見て「ほら、あの…」と続けるA

どうやら名前が出てこないらしい




A「背の低い和装の…携帯に兎がついてる」


与謝野「あぁ、あの子か。知り合いかい?」


A「1回廊下ですれ違ったくらいです。兎ちゃんは元気ですか?」




きちんと服を着たAがそんな質問をしてきた

どうやら上司への土産話が欲しいらしい




与謝野「…アンタ、ポートマフィアを馘首になったと聞いたけど」




「違うのかい?」と問うと、Aは思い出したかのようにハッとし笑った




A「失礼。自分でもまだ実感がないもので」


与謝野「…別にいいさ。少し不躾な質問をしてもいいかい?」


A「えぇ、何でもどうぞ」


与謝野「…なにか未練があるのかい?」




その質問をした瞬間、Aは口角を下げた

だけどそれは一瞬のことで、すぐにまた真意の読めない笑顔に変わる




A「あると言えばあり、ないと言えばないです」




曖昧な返答だ

しかし、死んだ時のことも覚えていないというなら仕方がない事なのだろうか




A「お姉さん。私は仕事柄いつ死んでも構わないと思っていました。死ぬ時は死にます。それは仕方がないことです」


与謝野「…まぁ、そうだね」


A「だから今回もそのつもりでした。何故かこうして生き返ってしまいましたが、私の死ぬ時はきてます。終わりにするつもりでここ(探偵社)にきたのです」


与謝野「随分潔のいいものだね」




素直な感想を口にするとAは肩を竦めて見せた




A「死んだら終わりです。何もかも。」

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作者名:エバ。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月16日 12時

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