浮気されてるので浮気しました。[HQ]

44*引き金は既に引かれていた ページ45

及川徹side


わかっていた。分かってはいたけど、落ち込んでいる自分がいる。

もし俺が浮気していなかったら…そんな事が頭を過る。
今更だけど。


認めてはいないけど、浮気はバレてて
その途中で国見ちゃんに食われたのだろう。


俺の大好きな笑顔はゆっくりとキスをするも、
いつもとは違うそれ。

開き直ってこれからはAと沢山ヤればいいかとも思っているし、初めてってめっちゃ痛いから俺がそれをやらなくて良かったかも…と思わずにはいられない…



｢ねぇ、及川さん。｣


枕に顔を埋めて携帯を操作するAにピロートークなんて無いのかなって物悲しくなる。
俺は…この子だけは大切にしたかった。



｢なぁに、A。
大丈夫？身体ツラくない？｣


そっと背中を撫でれば上目遣いで見てくるからドキッとしてしまう。
無垢なんて言葉はもうこの子には使えない様な笑みで。



｢これ、見て。
このデータフォルダ。｣


[及川さん♡]と名前をつけられたフォルダを触ると、沢山の俺の写真。



…俺が他の子といる写真。


日付は付き合い出した頃から。



｢…A、これ…｣


｢他の子と仲良くする及川さんです♡
ちゃんとスクロールして見て下さいよ。
…ほら、ここ数日のもあるんですよ。｣



Aの指に合わせて写真が続々と出てくる。
部室、倉庫、屋上、通学路…

正直何も言えない…

…なんでこんなに写真あるの…？




「…英と鉢合わせてから昼も帰りも一緒で、それ以外は他の子と居るってハードスケジュール過ぎますよね。｣


｢…A、その、俺が１番好きなのは…｣



唇に触れた指は何も言うなと押し付けられる。
頭を回しても証拠があり過ぎて弁解の余地がない、かも。



｢もう私にその魔法は効きませんよ。
彼氏の及川さんは要らないです。
…理由はいりませんよね？｣


｢え…やだ…俺はAじゃなきゃやだ！｣



泣いて縋った所でAは表情を変えず、
本当に大切な宝物を俺は失った。

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