&...［8］

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うん、こんなもんかな。




曲の作り変えがまあまあ形になったところで
ガリガリと頭を掻きながらスタジオから出ると
辺りはすっかり暗くなっていた。


スタジオから出た俺の脚に
愛猫のソイとラテが鳴きながら纏わりついてくる。




「なぁに、どうしたの？」




その姿に俺もついつい猫なで声になる。
作業疲れした体も、猫たちの可愛さで少しだけ元気になりそうな気がした。




「あー、飯の時間だよね。ちょっと待って・・・」




いつもあげているドライフードを取りに行きながら
レコーディングし直しだなぁ、と考える。




取り敢えずヒロとまーくんに連絡して・・・、
締め切り間近に変更なんて文句言われるかもな。苦笑


あとはサポートメンバーにも録り直ししてもらって、
それから・・・。




んー・・、俺、どれくらいの時間、
作業してたんだろ。




集中し過ぎたせいか、
若干、頭が回らない。


Aが来たときはまだ明るくて、
ブランチを食べた後、帰ったから・・・




って、そうじゃん！A！




バタバタとリビングに向かって走ってドアを開ける。
そこに明かりが灯っているはずはなく、真っ暗で。




「・・だよな。
帰れって言ったの俺だし」




着ている服は完全な部屋着だから、
クローゼットから春向けのロングコートを引っ張り出して羽織った。




あの時はとにかく曲を作り直したくて、
俺らの曲なのに
他のバンドかと思ったって言われたのが悔しかった。




この曲はこのままじゃダメだ！って思ったから、
すぐさま作り直したくて仕方なかった。
とにかく仕事させて欲しかった。




それで彼女のことを追い返しちゃったけど、
スタジオの扉を閉める前のAの顔は、
罪悪感でいっぱいだった。


俺のプライドを傷つけたって思ったかもしれない。
自分が余計なこと言ったせいだって顔してた。




そんな彼女に対するフォローもせず、
帰す理由も言わずに黙って追い返しちゃって、
俺はいつも大事な時にひと言足りない。




そんな風に反省しながら
彼女の部屋への道のりを急いだ。





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