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思わず唖然とした沖田に近藤は、「そうか、そうなのか…!」と何度も頷く。後ろの隊士たちも何故か、「あー、やっちゃったかー」と同情の顔で頷いていた。
「分かる、分かるぞ総悟!俺もなァ、お妙さんを見る度にそりゃああんなことやこんなことをしたくなる。ましてや一つ屋根の下で一緒に暮らしておいて、よくぞここまで我慢したとも言える。
が、ちょっとタイミング、ミスっちまったなァ……」
前言撤回。何も分かっちゃいねェ。
そういやこいつらアホだった。
少し前に考えた事をこの勘違い野郎どもの血で洗い流してやりたい、と物騒な事を考えつつも、沖田は努めて冷静に返す。
「誰もそんな事してねェです。俺のせいであることは認めやすが、こっちはもう謝ったんでさァ。避けてるのはむしろあっちでィ」
「え、そうなの?」
「誰も年中そんな事に思いなんざ馳せてねェでさァ。そんなのは近藤さんだけでィ」
「え、待って何で俺さりげなくディスられてんの?」
とは言うものの、沖田も何度か衝動に駆られたことが無いとは言えない。寝ているAに悪戯を仕掛けに部屋に行った際など特に、である。
そしてまた、気まずい関係になっているのがAのせいだけでなく、自身もどう接していいかが分からない所があるからというのも否定できない。
「けど今の関係は実際不味いんじゃないですか?早い所進展しないと、Aちゃんとくっつくなんて無理なんじゃあ。何か対策を……」
「必要ねェだろ」
心配そうな山崎の言葉を一蹴したのは、部屋の入口に立つ土方だった。
「俺からしちゃ、お前らの方が何で分からねーんだっつー話だ」
「え?何が?」
ポカンとした顔で見る沖田たちに、土方は溜息を吐く。
「ったく……。お前ら、総悟ばっか見てAがどうなってるか全然見てねェだろ。そうすりゃ一目瞭然だ」
「Aちゃんがどうなってるか……?」
一瞬首を傾げた隊士たちは、次の瞬間ハッとした。
「そういえば、Aちゃん今朝体調悪いって!」
「あぁそうだ!なんか吐き気がするって言ってたな!」
「まさか、盲腸!!?」
「いや盲腸って腹が痛くなるだけだろ。嘔吐下痢とかじゃね!?」
「……」
全く別のベクトルで騒ぎ出す隊士たちに土方は思った。
こいつらが女心を理解する日なんて、世界が終わろうと絶対来ない、と。
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伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時