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屯所に戻った私は、早速副長の部屋へと急行した。
胡坐をかいて座る彼は特に仕事もしておらず、煙草を吸って休憩しているようだった。
「失礼します、副長。ちょっと聞きたいことがあるんですけど…」
「?何だ?」
副長は煙草を灰皿に押し付け、湯飲みに入っている緑茶を一口飲む。
正直、副長に聞いて分かるようなものでもないような気もするけれど、物は試しだ。
「……あの、沖田隊長って私の事、どう思ってると思います?」
「ぶっ!!!!??」
「ふ、副長!!!?」
思い切って尋ねた途端、コンマ1秒で副長は緑茶を思いっきり吹いた。緑茶は見事な弧を描いて畳に散らばってしまう。
あぁあ、畳が…!!じゃなくて副長が!!
「大丈夫ですか!?」
うっかり副長よりも畳の方を気にしてしまったのは無かった事にして、慌ててむせる彼の背をさする。
「ごほっ、げほっ、げほっ……!!!おまっ、急にな、え……!!?えぇぇぇぇ!!?」
「そんな驚くことですか!?」
ただただ驚いて私を見る副長だが、逆にこっちが驚きだ。どんだけびっくりしてんだ。
何とか呼吸を整えた副長は、「な、何で急にそんなこと聞くんだ?」と動揺しまくりの震え声で尋ねた。何か禁断症状っぽくて怖い。
「えっと…。元の関係に戻る糸口を見つけるために、まずは沖田隊長が私をどう思ってるのか考えてみようと思いまして。
副長はどう思います?」
「あ、あァなるほど…。どう、って言われてもな……」
何故か視線を彷徨わせて、挙動不審な副長。どうしたんだ本当。
「お、俺は総悟じゃねェからな〜。ちょっと……分かんねェな、うん」
「そうですか……」
やっぱり駄目かぁ。
私が落胆したのが伝わったのか、副長は「けど」と口を開いた。
「そんな事聞くってことは、お前もうあいつの事嫌いじゃねェんだな」
「…………。…まぁ」
「長ェよ間が!?」
すかさずツッコんだ副長に「あはは」と誤魔化し笑いを返してから立ち上がる。
「そうですね。何だかんだで、(自覚したのはさっきだけど)喧嘩友達だと思ってます。
あんなに気を遣わずに接することが出来る人なんて、他にいませんから」
「ほ、ほォ……」
何故か何とも言えない表情で曖昧に副長は頷き、頭を掻いた。何か思うところでもあるのかな?
…ま、多分聞いても教えてくれないだろうからいいか。
「とりあえず、他の人にも聞いてみますね。失礼しました」
まだ微妙な顔の副長に一礼して退出し、私は他の人を探しに行った。
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伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時