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「本当にお世話になりましたっ!」
すっかり元気になった銀さんは、そう言って頭を下げた。
「凄いですね、Aさん。あんなに熱高かったのに、数日で完治させちゃうなんて」
そう言った新八君に私は笑って手を振る。
「私じゃなくて、銀さんの免疫力が大きいよ。私の治療は患者の全体的な免疫力を回復させるだけのものだし。
まあ、何はともあれ治って良かったです。それじゃあ私はこれで」
「A、またナーーっ!」
「ワン!」
神楽ちゃんと尻尾を振る定春君が、わざわざ玄関前まで見送りに出てきてくれる。
何この組み合わせ。可愛すぎる。写真撮りたい。
「また何かあったら言って下さいねー」
軽く手を振り返してから、私は小走りで屯所へ向かった。
結局、ほぼ泊まり込みで看病してしまった。本当は屯所から通うつもりだったのだが、予想外に神楽ちゃんと新八君が騒ぐので、とても放って離れられなかったのだ。特に依頼人が来た時とか。
近藤さんに謝らないとなぁ。
そう思いつつ、屯所に戻ってくると。
「……?」
――何か、やたら注目されてる?
すれ違う隊士達が私をじっと見ては何事か話していた。
何やら深刻そうな表情だ。
何かあったのかな。
首を傾げながら部屋に戻り、それから近藤さんの部屋に直行した。
「すみません近藤さん、ただいま戻りま……」
襖を開けてそう言うも、途中で私は言葉を失った。
「……へ?」
そこには神妙な顔をする近藤さんと副長が、向かい合って座っていた。
「ふ、二人共?どうしたんですか?」
チーン、という効果音が聞こえてきそうな程沈んでいる。
まさにお通夜のような雰囲気だ。
何これ?
ポカンとしていると、近藤さんの腕の中にある物に目が釘付けになった。
……何。あれ。
全く理解が及ばず、私はそれをただただ見つめることしか出来ない。
そうやって棒のように立ち尽くす私を、近藤さんはゆっくりと見上げ、そして辛そうに顔を歪ませた。
「Aちゃん……総悟がッ……!」
言いかけ、近藤さんは目元を覆った。
「総悟がッ……、
――死んじまったッ……!!」
近藤さんが抱えていた物は、沖田隊長の遺影だった。
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茸筍 - でも、カッコいいわ (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
茸筍 - 吉沢亮に血染めの犬の餌投げつけるかw w w (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - さわさん» そこまで喜んでいただけて嬉しいです!(*^▽^*)続編も頑張ります!! (2017年5月29日 22時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)
さわ - やったァァァァァ!!w続編なんてすっっっごく嬉しいです(*-`ω´-)9 ヨッシャァ!!楽しみに更新待ってますね!(*´ω`*) (2017年5月29日 22時) (レス) id: e6f444c96b (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - mokamoiさん» い、いちばんですか!?(゜ロ゜;ノ)ノそんな、とても恐れ多い誉め言葉を頂けるなんて光栄です・・・!ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月29日 5時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年5月12日 2時