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原チャリに乗ってやって来たのは、甘味処だった。
そこで団子を注文した銀さんは、話を切り出す。
「で、実際のところどうなんだ?」
「………」
私は答えられずに俯く。銀さんはそれを責めるでもなく、のんびりと頬杖を突いた。
周囲の喧騒が、何だか遠く聞こえる。
「あそこを飛び出して、良かったと思うか?」
「……分からないです。
でも……。
――寂しい、です」
副長は今日も沖田隊長に襲撃されたのだろうか。近藤さんは今日もお妙さんの所へ行って、また殴られてるんだろうか。
…寂しいなぁ。
「多分きっと皆心配してるし、怒ってると思います。最初は、殆ど勢いですけど、本気で辞めてやろうとも思ってました。けど……今は、あんまり……」
でも今更やっぱり辞めませんなんて言うのも勝手だから、と呟いたところで、注文したお団子が来た。
「ほら、食えよ」
一本手に取り口に入れながら、銀さんはもう一本手に取って私に差し出す。お礼を言って受け取り、口に入れた。
変だ。甘い筈のお団子が、なんだか苦い。
「…俺はどっちでも良いけどよ。戻ろうが、万事屋にいようが。ま、いてくれた方がありがてェけどな。飯はうめェし、仕事も成功しやすいし。
けどな、そんな無理して笑ってまでいてほしいとは思わねェよ」
「!」
銀さん舐めんな、と彼は笑ってみせる。
「真選組にいた時のお前の笑顔は、すっげェ明るかったよ。花みてェにな」
「…銀さん……」
「ま、どっちにいたいかは、お前の好きなようにしろ」
銀さんはそう言うと、またお団子を口に入れた。
この人は駄目そうに見えて、実は全然駄目なんかじゃないんだよなぁ……。
人の事をよく見ていて、その人がどうしたいかも見抜いていて。
本当は、凄い人なんだ。
その証拠に、曇っていた心の内を光が照らしていくような気がする。
――そうだ。私は決めたんだ。
二年前に、
そうやって、人を助けようと。
私は唇を引き結び、頭を下げた。
「…銀さん、ありがとうございます」
「ん?」
「医者が持ち場を放り出したら駄目ですよね。
私、戻ります」
笑ってそう言うと、銀さんは「そうか」と笑い返してくれた。
「――だってさ。総一郎君?」
「……え?」
銀さんの視線の先に目を向ければ。
「沖田隊長!?」
暇そうに立つ沖田隊長の姿が、そこにあった。
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茸筍 - でも、カッコいいわ (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
茸筍 - 吉沢亮に血染めの犬の餌投げつけるかw w w (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - さわさん» そこまで喜んでいただけて嬉しいです!(*^▽^*)続編も頑張ります!! (2017年5月29日 22時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)
さわ - やったァァァァァ!!w続編なんてすっっっごく嬉しいです(*-`ω´-)9 ヨッシャァ!!楽しみに更新待ってますね!(*´ω`*) (2017年5月29日 22時) (レス) id: e6f444c96b (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - mokamoiさん» い、いちばんですか!?(゜ロ゜;ノ)ノそんな、とても恐れ多い誉め言葉を頂けるなんて光栄です・・・!ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月29日 5時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年5月12日 2時