【FHQ】荒野往く旅路【影山飛雄】 (ページ4)

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宿屋らしいその建物は、一階に降りるとすぐににぎやかな声が聞こえてきた。うるさくてごめんね、と言う舞さんにいいえと首を振る。

にぎやかなのは、昔からずっと好きだ。

「あっ！元気になったんですか！」

「うん。ご飯出してくれる？」

「はい！」

舞さんは小柄な男の子にそう言ってから、「こっちだよ」と私を案内してくれた。

部屋の真ん中、大きなテーブルの上に、ご馳走が所狭しと並んでいる。

「おっ、そっちのも起きたのか」

急に声をかけられてびっくりしたけど、金髪の大柄な男性だった。はあ、お陰様で、なんて曖昧に返事をするとそっちだそっちだと言われる。

示された方では、影山さんが居心地悪そうにしていた。

「影山さん！」

「あ、A、起きたのか」

「ご飯食べました!?」

「食べた」

いいなあ！と言っていると、まもなくまた新しい料理が運ばれてきた。匂いだけでお腹が鳴りそうだ。

「ほら、座って。何でも食べていいよ」

「あ、ありがとうございます」

にっこり笑った舞さんにお礼を言って。

あとは――あとは、長い間の空腹を満たせるように、ただ、黙々と食事をしていた。

*

「――で、ようやく聞くけどお前ら何者だよ？」

私達にそう訊いてきたのは、さっきの金髪の人だった。その隣で、ちょっと笑いながら頷く人もいる。

「近くで転がってるから、まあ見過ごせなくてな。拾って正解だったか」

「ありがとうございます！」

「あーいいよいいよ気にすんな」

ほら、影山さんもお礼言いましょうよ！ ……と言っても、彼は小さく会釈して「……アス」としか言わない。省略しすぎだと思います。

「で、何者だ？」

何でもないように訊くけれど、そこには若干の警戒が含まれている。

周りで笑いながら喋っている人達も、ほとんどが私達を見ていた。とりあえず拾ってきたよそ者。けれど怪しすぎる――そう言いたいのだろう。

影山さんの方を盗み見た。どういうことにするのか、なんて話はまったくしていなかったから、影山さんの言ったことに合わせるつもりだ――そういう意味を込めて。

彼は少し考えた後、顔を上げて大きめの声で言った。

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