昔馴染みとの約束_5

約束_135 ページ24

「うぅぅ〜〜、がんどうしだっ！」



観客の興奮と歓声が飛び交い続けた祭が終わり
選手とファンの交流タイムとなった今

下に降りて尚
試合の熱が引かぬわたしは泣いていた

レベルアップした翔陽君の自由度の高いプレーは
もうほんっとうにずっと目が離せなかった


が、それだけじゃない


影山君の迫力あるセットアップ

ウシワカのどぎついスパイク

さらに技術が上がった星海君の空中戦

そしてなんと言っても大スターロメロ選手の圧巻プレー！


んで、MSBYの方だって負けてない

侑君のチャレンジ精神が生み出した三刀流サーブ

佐久早君の攻守に安定したしなやかなプレー


他にも沢山あったけど

あったけど！

この止まらぬ涙の原因は……



「ぼくとぉー！アンタどんだけ凄くなんのよ！！」


「おー！A！元気か！？俺は元気！！」


「知ってるわバカヤロォ〜〜っ！」



高校時代の木兎の事は、近くは無かったが、よく見てきた

調子が良い時は全国3本指に入りそうなのに
いっつもその調子にムラがあり過ぎるし

元気過ぎるし(それは多分今も)

思い立ったらすぐやっちゃうし(それも今もだと思う)


赤葦や木葉達が散々世話を焼いていたのを知っている


だからこそ

今日、そんな気配を感じさせない
ただただ、強く、元気な木兎光太郎に、感動したのだ



「ただでさえ漫画の主人公みたいな奴なのに、どんどんスターになってくじゃん！」


「それは違うぞA！俺は”普通”になったんだ！！」


「”普通”って言葉の意味をご存知デスカ？？」



アンタが普通だったらわたしはいったいなんなのさ！
虫けらか何かですか？？


わたしの八つ当たり？を華麗にスルーし(いつも通り)
周りをキョロキョロし始めた木兎を睨む



「あ！サームラ達も来てる！！久しぶりだな！」


「だねぇ。さっきまで一緒に…」


「そういやあ、赤葦見た？来るって言ってたから、ミャーサムのおにぎり買っといてって言ったんだけど」


「赤葦？見てないよ。治君のおにぎり美味し……」


「ってかA、いつになったら俺の写真撮ってくれんの？」


「……とりあえずシーズン終わってからじゃない？だいたいアンタの予定が立たないと……」


「あ！今度皆で飯行こ！ツッキーとか日向とか誘って！」


「………ウン、イコウネ」



ウン、もう諦めよう
変わった事もあれば昔のままな事もあるだろう

だって木兎だもの

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