アイナナ学園の愉快な日常。 (ページ5)

今日:6 hit、昨日:8 hit、合計:1,789 hit

どうせ、叶わないのに2 ページ5

ずるいよ、天にいは。
俺だって、紡ちゃんがこんなにも好きなのに。
きっと天にいは、それをわかっててやってる。
紡ちゃん…紡ちゃん…。
君を俺だけのものにしてしまいたい。
でも…、俺にはきっと出来ない。
でも、せめて今は。
今だけは。
俺だけの紡ちゃんでいて欲しい。

「だいじょぶ？陸君。」
紡ちゃんが上から覗き込んでくる。
「ん、ここ、は？」
「中庭だよ。あと、陸君具合悪そうだったから…。」
その言葉の続きがわかった。
頭の下に柔らかい感触を感じる。
「流石にここでお腹まくらはできなかったけど、これくらいなら…ね？」
紡ちゃんも少し照れ臭いみたいで頬を赤くする。
「なんか、恥ずかしいね。今まで何回もやってたのに。なんでだろ」
紡ちゃんに聞きたくなった。
「それは、俺を意識してるって事でいいの？」って。
だけど、そんな事言えないよ。
きっと紡ちゃんは、少し困った顔で言うんだ。
「幼馴染だよ。馬鹿な冗談言わないで」って。
冗談なんかじゃない。
これがほんとの気持ちなのに。
ねぇ、好きって言ったらどんな顔する？
「ねぇ、紡ちゃん…。」
「何？」
「俺、紡ちゃんの事…」
「紡っ！！」
天にいが軽く息切れをしながら近づいてくる。
「探したよ。二人で何してるの」
天にいは焦ってるみたいだった。
「別に普通に話してただけだよ。」
天にいは幾分かほっとしたような顔をした。
「陸、大丈夫？保健室連れて行こうか？」
「ううん、大丈夫だよ。もう、治ったから。」
体を起こして言う。
「じゃ、先帰ってるね。紡ちゃん、膝枕ありがとう。」
俺は背後も振り向かず、紡ちゃんの返事も聞かず早歩きをした。
誰もいないところへ！
誰も、誰にもじゃまされないところへ！！
いつの間にか屋上にいた。
誰もいなくてほっとしたのか涙が溢れてくる。
「ほんとずるいよ。」
擦ることも拭くこともせず、淡々と涙を流す。
「俺、紡ちゃんの事…」
さっきの言えなかった言葉の続きを口に出す。
「…好きだよ…！」
鼻がムズムズした。
胸が痛かった。
「好きだよっ」
ただ、ずっといい続けた。