一羽の飛べない雛烏

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「ナイスブロック！！」
「ほんとに久しぶりかよ…なんで初っ端からドシャット決めんだよ！！」
『なんでちょっとキレ気味なんだよ！！』



気持ちいいな、ドシャット。やっぱり快感だ。ネチネチワンチするのも好きだけど。




「あれが鈴鳴…中学の時からだいぶ戦い方が変わったな…」


どこかの監督がそうつぶやくのが聞こえ、ピクリと反応する。



「前はあんなにスパイク打ってたが、やはりブロックを集中的に極めるようになったんだな」

「あれだけ天才と言われていたのに、辛かっただろうな…」







…別に、辛くなんてねぇよ。


スパイクが打てなくなったのなんて、言ってしまえばしょうがないことだった。


いやいやブロックやってんじゃない。今はもう、楽しくて仕方がないからやってんだよ。






「よし、次行くぞ！」


『っあ、はい！』





澤村さんの声で意識が現実に引き戻される。

やばいやばい、余計なこと考えんなんて舐めてんのか俺。






結局この試合は負け…いやその後大分負けた。


これで何敗目だ…と数えていると、ガララっとドアが空き、最近見知った二人が立ち並ぶ。




『…本日の主役の登場ってか…』





汗を拭いながら見ると、そこには日向くんと影山くん。

田中のお姉さんが送ってくれたらしい。行動力の鬼だな…宮城から東京とか。






その後、日向くんと影山くんの活躍によりペナルティ初回避。


が、しかし一日目、二日目も変わらず負け越してしまった。





次の合宿は再来週。夏休み期間に行われるやつだ。
うーっと伸びをして、帰る準備をする。

するといきなりバババッと駆け寄ってきた日向くんと影山くん、田中と西谷。


え、え、なに。こわいんだけど。


「鈴鳴さん！！ブロックめっちゃうまかったっす！！」

「なんだよ鈴鳴、負けちまったけど絶好調だったじゃねぇか！！」




まあ、確かに今日は調子が良かったな。久しぶりだったのに。

ブロックできたし、リードブロックもうまく行った。多くボールに触れたほうだ。

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