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「ずーなりーー!!」
木兎さんの叫び声が体育館に響く。あああとこちらに駆け寄ってた。相当焦っているらしい。
『ゔっ…』
「鈴鳴大丈夫!?」
「生きてるか!?」
『なんとか…』
のそのそと体を起こして赤くなった鼻を擦る。鼻血は出てなかった。
というか、やっぱり無理だ。黒尾さんたちは一体何を考えたというのか。
『…あの…跳びはしましたけど、これが何になるんですか…?』
「よし、木兎動画!」
さっき俺が跳んだのを真横から取った動画を見せられる。
改めて見てみればすごい飛び方でコケ方だ。
…ていうかあれ、こんなに足引けなかったんだ俺。
「正直この跳び方だと、さっきみたいにバランス崩して派手に転ぶのがオチだ」
「だから今から俺と黒尾とあかーしで、お前にあった跳び方を見つける!」
ビシッと指をさされて、思わず固まる。
何言ってんだこの人たち。
探すって…できるのかそんなこと。
というかなんでそんなことしてくれるんだ。
「ここ!このままだと右に傾くから、重心こっちに意識してさ、」
「威力上がんないなら、体全体で反動つけて…ほらあかーしも!」
俺の話でわいわいと盛り上がっている。
動画を見てここを直したらいいとか、この向きのほうがいいとか、アドバイスをたくさんされた。
赤葦くんもちゃっかり混ざって、一緒に話している。
『えっと…あの…?』
「よしずーなり!今言ったの全部意識してもう一回!」
「ほーら早く早く!」
話に入ろうと声をかけたら、木兎さんに腕を掴まれてコートに引きずり込まれた。
まだ痛む顔を困惑で少しゆがませながら、またコートに立つ。
「ごめんね、木兎さんこうなったら絶対に折れないから」
赤葦くんに肩をぽん、とされて慰められた。そういう赤葦くんも割と楽しそうな顔してるな。
なんで黒尾さんたちが俺を跳べるようにしたいかは分からない。
まあとりあえずやってみよう、難しいことはあとにして。
せっかく考えてくれてるんだから。
俺も無理だってわかってはいるけど、もしかしたら彼らのおかげで、なんて。
助走をつけてもう一度跳ぶ。
『…っぶはぁっ!!』
…やっぱ無理だった。
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アドバイスはもちろん自分で考えたやつです、気にしないでください
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あなくま(プロフ) - あっびーさん» ありがとうございます!気まぐれ更新ではありますが頑張ります!澤村さん直してきますすみません (7月3日 6時) (レス) id: 995ed5925a (このIDを非表示/違反報告)
あっびー - コメン卜失礼します!話とてもおもしろかったです!がんばってください!あと澤村が沢村になっていました (7月2日 15時) (レス) @page5 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
あなくま(プロフ) - 怜央さん» ほんとですね…教えていただきありがとうございます!実は前にも消えちゃってたのでまた同じようなことがあるかもしれません…気をつけます! (2022年10月14日 20時) (レス) id: 995ed5925a (このIDを非表示/違反報告)
怜央(プロフ) - コメント失礼します!36話が消えちゃってますよ〜! (2022年10月14日 20時) (レス) id: 8acdf4d0f3 (このIDを非表示/違反報告)
あなくま(プロフ) - ありがとうございます!できるだけ早く更新できるように頑張ります! (2022年10月13日 16時) (レス) id: 995ed5925a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あなくま | 作成日時:2022年9月24日 14時