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『…いえ、俺も聞いてもらえてよかったです』
話したら少し心が軽くなった。隠してるつもりで、どこかで聞いてもらいたかったんだろうな、と思う。
『戻りますか、冷えてきましたし』
よいしょ、と腰を上げて提案する。
だけど黒尾さんは動かない。
『…黒尾さん?』
「スズチャンさ、さっき無責任な諦めるなが嫌いって言ったよな?」
『…え?あ、はい…そうですね』
それがどうしました?と首を少し傾ける。
するとにやっと笑みを浮かべた黒尾さんと目があった。
「…よし、じゃあ体育館戻るぞ」
『えっ…食堂行かないんですか?』
「木兎たちおいていけねーだろ。
あと、チョット試したいことがあるんだよ、付き合ってくれねーか?」
どうしたんだいきなり、と眉をひそめる。
まあ、自分にできることなら、と言って着いていく。
「…あっ!ずーなり!!」
体育館に戻ると、入口側を向いていた木兎さんと目があった。それに続いて赤葦くんもこっちを見る。
ドドドッと効果音が付きそうな勢いで走ってきたと思ったら、さっきの俺と黒尾さん並の近さで肩を掴まれ、ぐわんぐわんとゆすられる。
「ずーなり、大丈夫か!?泣いてただろ!」
『うっ…おっ…だいっ…じょうぶでっ…すっ…!
あのっ、はなし、離してっ…!!』
「木兎さん近すぎです。鈴鳴を解放してあげてください。
ごめんね、俺もすぐに止めればよかった」
『うぇっ……ふぅ、ありがとう赤葦くん…俺こそごめんね、急に怒鳴って、出てって』
正直頭ぐわんぐわんしてるけど、まあなんとかなんだろう…なって欲しい。頑張れ俺の三半規管。
「スズチャン、さっきの話かるーく説明してもいいか?」
『あ、はい。お願いします。俺が話すと長くなりそうなんで』
黒尾さんの口から、大切なことだけ切り抜かれて二人に説明してくれた。
それを聞いて驚いた顔をして、そっか、と頷いて聞いてくれる。
「なるほどねぇ…怪我かぁ…
たしかにずーなり、時々足かばって歩いてたよなあ。
まあでも、まだいけるんじゃね?」
『…と言いますと…?』
さっきから黒尾さんといい木兎さんと言い、よくわからない発言ばっかりするなあ。
黒尾さんがニヤッとすると、それに合わせて木兎さんも笑い、ビシッと俺に指を指した。
「ずーなり!お前をもっかい飛べるようにしてやろうじゃあないか!」
「名付けて“鈴鳴スパイク大特訓”!!」
『なんか名付けた割には普通の名前ですね』
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あなくま(プロフ) - あっびーさん» ありがとうございます!気まぐれ更新ではありますが頑張ります!澤村さん直してきますすみません (7月3日 6時) (レス) id: 995ed5925a (このIDを非表示/違反報告)
あっびー - コメン卜失礼します!話とてもおもしろかったです!がんばってください!あと澤村が沢村になっていました (7月2日 15時) (レス) @page5 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
あなくま(プロフ) - 怜央さん» ほんとですね…教えていただきありがとうございます!実は前にも消えちゃってたのでまた同じようなことがあるかもしれません…気をつけます! (2022年10月14日 20時) (レス) id: 995ed5925a (このIDを非表示/違反報告)
怜央(プロフ) - コメント失礼します!36話が消えちゃってますよ〜! (2022年10月14日 20時) (レス) id: 8acdf4d0f3 (このIDを非表示/違反報告)
あなくま(プロフ) - ありがとうございます!できるだけ早く更新できるように頑張ります! (2022年10月13日 16時) (レス) id: 995ed5925a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あなくま | 作成日時:2022年9月24日 14時