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「鈴鳴さん…残念ですが、これ以上リハビリしても、右足はもとには戻りません…」
…え、
定期検診で、医師はそう言った。
難しいことをぺらぺらと話される。だけど、そんなことは聞こえなかった。
『…、なんで、』
言ったじゃないですか、また跳べるって、
諦めるなって言ったじゃないですか
俺、その言葉を信じてたのに
嘘、ついたんですか
喉にせり上がってくる言葉が出る前に、ぐっとこらえて飲み込む。
知ってる、これはただの八つ当たりだ。
もとから信じていたかと言われれば、正直半々だった。
でも少しだって信じてしまった、跳べるようになると思ってしまった。
だから、その言葉に裏切られたように感じて。
…どうせ無理なら、少しでも無理なら、
最初から夢なんて見せないでくれ
無責任に、諦めるな、なんて言わないでくれればよかったのに
「…A、おい、A! 聞いてるか?」
『…え?あ、うん、何だっけ』
4月、三年生になった教室で、同じクラスになった元也が俺の肩をたたく。臣とは1クラス隣になってしまった。
ぼうっと外を眺めていて全く聞いていなかったので、急いで答えた。
「だからさ、ブロックだよ、ブロック!
アタッカーとしてコートに立てなくても、それ以外にも方法はあるよ!」
『…ブロックかぁ…』
俺がもう跳べない、と告げられてから、二人は俺以上に俺がコートに立てる方法を探してくれた。
はじめはあまり気乗りがしなかった。まだ、跳べないということを信じたくなかったからかもしれないけど。
元也に言われて、世界のブロッカーやスーパーレシーブの動画を見た。
これがすごいとか、この人が上手いとか聞いているうちに、次第に興味が湧いてきた。
医師にもう跳べないと言われたとき、跳べない=バレーボールができないのように感じていた。
『あのさ、なんでそこまで俺に必死になってくれるの?』
「え…? だって、俺はまだ聖臣とAと、バレーボールがしたいし。
Aにまた“楽しく”バレーボールをしてほしいから」
…でも、違う。それだけじゃなかった。
元也がそう思わせてくれた。
一秒でも長くコートに立ちたい。
もうアタッカーにはなれなくても、できることは全てやって、またバレーボールがしたい。
『…うん、そうだね…うん。
…ありがとう元也』
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今更なんですが元也は佐久早のことを聖臣と呼んでる設定です(二人の前でだけ)
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あなくま(プロフ) - あっびーさん» ありがとうございます!気まぐれ更新ではありますが頑張ります!澤村さん直してきますすみません (7月3日 6時) (レス) id: 995ed5925a (このIDを非表示/違反報告)
あっびー - コメン卜失礼します!話とてもおもしろかったです!がんばってください!あと澤村が沢村になっていました (7月2日 15時) (レス) @page5 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
あなくま(プロフ) - 怜央さん» ほんとですね…教えていただきありがとうございます!実は前にも消えちゃってたのでまた同じようなことがあるかもしれません…気をつけます! (2022年10月14日 20時) (レス) id: 995ed5925a (このIDを非表示/違反報告)
怜央(プロフ) - コメント失礼します!36話が消えちゃってますよ〜! (2022年10月14日 20時) (レス) id: 8acdf4d0f3 (このIDを非表示/違反報告)
あなくま(プロフ) - ありがとうございます!できるだけ早く更新できるように頑張ります! (2022年10月13日 16時) (レス) id: 995ed5925a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あなくま | 作成日時:2022年9月24日 14時