96話 ページ48
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「嗚呼、紹介しますねツノ太郎さん。この全身白男は澁澤龍彦と云って、私の古い友人です」
「ツノ太郎?彼はそんな名前なのか?」
「いえ、渾名ですよ。本名は、」
「……………マレウス・ドラコニアだ」
「おや」
意外なことに、ツノ太郎さんの口から直接名前が出た。
「ふむ、ドラコニア………か」
「……そうだが。何だ?」
「…………いや」
嘘臭い笑みを浮かべ、澁澤さんは首を振った。
「…この世界で霧を発生させて再び結晶を集め出すのは勘弁願いたいのですが」
「何、心配は無用だよ。A君」
本当か嘘か分からない台詞を吐き、彼はツノ太郎さんに向き合った。
この世界では異能の代わりに " ユニーク魔法 " とやらがある。その能力も彼の結晶として集められたら確実に甚大な被害が被る。
「
「コレクター……。あぁ、確かにそうだな」
ツノ太郎さんも思い当たる節があるようだ。
「リリアが《そしゃげの限定がちゃ》とやらに毎回マドルを注ぎ込むことと同じことだろう」
「ええ、まぁそんな感じです」
「君の異能の結晶はどんな輝きを持つのか……私は興味が有るのだがね」
「死者に見せるものなぞ僕は持っていない」
澁澤さんはツノ太郎へジリジリと歩み寄る。
彼の魂を鑑定しているようだ。
「人の子、異能とは何だ?」
「此方の世界で云うユニーク魔法です」
「そうか。……では尚更だな」
「それは残念だ。私を退屈させてくれぬ輝きが目の前に有るのだが」
「澁澤さん」
「軽い冗談だ。さて、A君。身体が冷えてしまうだろう。部屋へ帰ろうか」
冗談には聞こえないのだが。
澁澤さんはツノ太郎さんに背を向け、歩き出す。
そんな彼を見て、私はこう呟いた。
「貴方はそんなだからお友達が居ないのでしょう」
「友達など人生に不要だ」
「……………。」
「佳い夢を、ドラコニア君」
「
「…………ひ、人の子……」
何か言いたげなツノ太郎さんを一人残し、私達は部屋へと帰った。
その後ディアソムニア寮にて部屋の隅に体育座りで「僕には友達が居ない……」とうわ言を呟くマレウス・ドラコニアが目撃されたという。
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時雨 様からのリクエストでした!!
ありがとうございます!
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アババババ - 80話の最後のフロイド君の発言で草生えました! (2022年11月19日 23時) (レス) @page32 id: 222bdc0355 (このIDを非表示/違反報告)
あ〜ちゃん(プロフ) - 猫さん» 承認しました!こちらこそよろしくお願いします! (2020年7月23日 21時) (レス) id: 9c71528097 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - あ〜ちゃんさん.......私も好物なので有り難いです......!ぜひ御願いします! (2020年7月23日 21時) (レス) id: fc34ad99ff (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - あ〜ちゃんさん» 柘榴です!よろしくお願いします! (2020年7月23日 18時) (レス) id: f20993b4a3 (このIDを非表示/違反報告)
あ〜ちゃん(プロフ) - 猫さん» OKです!ありがとうございます!! (2020年7月23日 13時) (レス) id: 9c71528097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年6月29日 0時