【ツイステ × 文スト】魔人の双子の妹は異世界へ飛ばされたようです《2》 (ページ35)

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83話ページ35

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「……そえで、あの男は俺の事さ「なんて可愛らしい少女なんだ…！」なんて言って跪いでぎだんだ。俺は女でねのに……！！！」

「可愛らしい少女かぁ」

「あはははは！！その不審者の言い分も分かる気がするけどな」

「笑い事でね！」

昼休みに私はエペルくんの元を尋ねると、エースくんとデュースくん、グリムくん、監督生さん、ジャックくん達1年生が集まって彼の愚痴を聞いていた。

彼はかなり憤りを感じており、ご立腹だ。
原因は不審者云々以前に少女と間違われたことらしい。

だが、どうもその不審者が引っかかるのだ。

「はっけ(走って)で逃げだげど追い掛げで来だんだ。そすたっきゃ同ずクラスの奴が魔法で食い止めるべどす(ようとし)たんだ」

「その光景は僕も見たぞ。動きを封じる魔法だったが、効いてなかったな」

「災難だったんだゾ」

グリムくんの一言に周りはうんうんと頷く。

「…その男はエペルを女だと勘違いしたんだろ？A先輩、気を付けてください。後監督生も」

「ええ」

「大丈夫だよジャック。Aちゃ…さんは私が命を引き換えにでも守るから」

頼もしそうな監督生さんに、エースくんは「いやついでなの突っ込まないのかよ」とツッコミを入れていた。

「あの、質問いいですか？」

「あ………ハイ、Aサン」

「男の特徴って何でしたか？」

「ええと……砂色のコートを着て、腕に包帯を巻いてました」

私はすぐさま頭を抱えた。
心当たりがありすぎるのだ。

「………エペルくん、それマ？？？？」

「うん。特徴的すぎたから覚えやすかったし…………」

監督生さんも察したようだ。

砂色のコートに包帯。そして女好き。
それらが指し示す男は唯一人しか知らない。

「此処に居たんだね、Aちゃん」

聞き覚えのある声が聞こえて振り向くと、あの男の焦げ茶の癖毛が風に揺れた。

「こ、この人だべ！」

エペルくんの緊迫した声。
やはり此奴だったか。

「………近い内に貴方が来るとフェーヂャから聞いていましたが、真逆こんなに早くいらっしゃるとは思いませんでしたよ」

「フフフ、Aちゃんに会いたかったからね。魔人が帰って来たら私も出発したのだよ」

─── 太宰治だ。