19個目 sideなし ページ21
「ーそれで殿下。この情報の見返りと言ってはなんですが、まとまった金か、それが無理なら暫くここでオレを雇ってください」
「なっ!」
巳早が言った瞬間、ゼンの周りの空気が変わった。
「それが用件か!!!」
「殿下!おさえて!」
さすがにそこまで大きな声を出されるとは思っていなかったのか巳早少し慌てたように話を付け加える。
「交換条件で聞き出した相手の情報もまだ持ってますよ。今の話に乗って頂けるのでしたら申し上げます」
「ーま、待った!ちょっと待って…」
白雪は2人の話に口を挟もうとした。
「ー…オビ?」
しかし、オビに肩を押さえられ口を噤んだ。オビも、その隣にいたAも巳早の事をじっと見つめていたままだった。
「お前は信用できない。情報が先だな」
暫くゼンと巳早の睨み合いは続き、折れたように巳早が口を開いた。
「…白雪を捜している理由です」
巳早は声の高さも変えることなく少年が言ったことも語り始めた。
「「理由ねぇ、その赤髪のお姫様には城なんかよりふさわしい場所があるんだよね」それから最後に…「クラリネスまで来た甲斐があった!」」
「どういう、意味…」
巳早が放つ言葉の意味が分からず白雪はただポツリと呟く。
「白雪、あんたまたその髪のせいで何か巻き込まれてるんじゃねえの?オレだってあんたを「ラジ王子が手に入れられなかった品」としてどっかに献上すりゃ稼げると思ったんだからさ」
白雪とゼンが見つめ合う。その表情は二人ともどことなく強ばっていた。
同時刻、イザナ殿下の部屋で1つの手紙が届いた。
「イザナ殿下。タンバルンより賞状が届いております」
「ー…これは…あの娘への招待状といったところか?」
イザナの含みのある笑みを残してこの物語は幕を開ける。
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作者名:あす | 作成日時:2018年12月1日 17時