259:センラside ページ38
日を経つ事にあんなに脈打っていた鼓動は音をしなくなっていって、遂にはほぼ動かなくなった。
それは俺の身体なら普通の事なのに今はそれが怖かった。
(なんで、、、)
完全にしなくなったわけじゃない。
たまに大きく脈を打つ心臓はきっとAちゃんとの共鳴で反応していると思いたい。
もう何日も家に帰ってない。
契約した主が危機の時、近くに行けば俺の身体は反応する。
だからきっと近くに行けばAちゃんの居場所が分かるはずと何日も鼓動を頼りに走り回ってもまだ見つけられない事に苛立ちは募る。
携帯を取り出そうとしても切ってくれるAちゃんが居ないから伸びきってしまった爪が邪魔をした。
やっとの思いで画面を確認すると、あれから一週間以上経っていた。
(こんなに離れるなんて)
無事でいて欲しい。
生きてさえいてくれればいい。
何をするかわからない相手だからこそ怖い。
みんなも口には出さないけどそれを一番心配していた。
風邪を引いた時より長く一緒にいれるとはしゃいだ長い休みはどうやらいつの間にか終わっていたようで天月くんは会社に行くからお昼は手伝えないと申し訳なさそうにしていた。
「Aちゃんが戻ってきた時の為に準備しておくよ」
「、、、どうするん?」
記憶を操作するのも、俺レベルだと簡単だよと坂田とは違うシルバーの杖を出して笑っていた。
だから心配しないでとも。
ぼんやりと見つめていた画面を変えてアルバムを開くとAちゃんの写真しか無い。
(会いたい)
どれも笑っている顔なのに、1枚だけ目を閉じている他より暗い写真。
こっそり撮った寝顔を見て胸が締め付けられる。
風邪気味だった身体は大丈夫なんやろうか。
きちんとご飯を食べれる環境にいるならいいけど、それでも食が細いあの子はちゃんと食べれているんかな。
不安な事があると目を覚ましてしまうのに。
寝れてるんやろうか。
心配しだしたらキリがない。
今どんな思いでどこにおるんやろ。
何にせよ早く迎えに行かないといけない。
立ち止まってる時間も惜しい。
(センラ)
何度も頭の中で俺を呼ぶ声がした。
もっと呼んで。
そしたら辿り着けるような気がするから。
俺がAちゃんの声を聞き逃すはずがないから。
(センラがいるから大丈夫)
そう思ってくれていたあの子の期待を裏切れない。
596人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーりん(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!甘い二人が書きたい私としては早くこのシリアスを抜けたい所ですがしばしお付き合い下さい!笑 (2019年8月27日 21時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 更新お疲れさまです(^^)いつも楽しみに待ってます!シリアス展開なのに先が気になってワクワクしていますw更新頑張ってください! (2019年8月27日 16時) (レス) id: 08075475cf (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 怜莉さん» 楽しみに待って頂いているのがすごく嬉しいです!( ;__; )コメント頂けてとても励みになりますー!少しシリアスなお話が続きますがお付き合いよろしくお願いします! (2019年8月27日 15時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
怜莉(プロフ) - 更新ありがとうございます!いつも楽しみで、今か今かと待っていますw個人的になんで話数毎の評価ができないんだーーーーー!!!と嘆いていますwこの先の夢主ちゃんとセンラさんがどうなるか気になります!更新頑張って下さい!待ってます! (2019年8月27日 10時) (レス) id: 0408e10153 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ぷーさん» ありがとうございますー!これからもよろしくお願いします!あと、課題頑張って下さい!!w (2019年8月27日 1時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月8日 4時