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「今日は遅いしもう寝よう」
あれからしばらく経って高瀬さんは何事も無かったかのように寝室に来ると布団の中へ入った。
当然のように隣で横になり腕を引かれて起き上がったままの私を無理矢理寝かせた。
どうにかここから逃げ出す体力を温存しておかなければいけない。
ここは余計な事をせず素直に従おうと身体を小さくした。
「嬉しいなぁ。毎日こうやって寝れるなんて」
腕枕をされ密着した身体の生温かい体温に吐き気がする。
こんな事を毎日なんて、全く眠れそうにない。
私の様子も気にせず、まわされた腕が私の腰を抱く。
「寝ちゃった?、、、おやすみ」
何も話さない私を寝ていると思ったらしい。
おやすみとまた身体を抱き直され目を閉じて朝を待つしか出来ることが無かった。
高瀬さんは直ぐに寝たようで、とりあえずまた押し倒されてしまったらどうしようと緊張していた気持ちは緩まっていった。
生温かい体温に包まれて暑いくらいなのに、身体からはぞくぞくと寒気がする。
クーラーの効きすぎる部屋が寒いからなのか、風邪を引きそうになっているのかもうわからない。
(暖かくして寝るんやで)
ふと、風邪気味の私を置いていきたくないとカーディガンを肩に掛けてくれながら拗ねていた彼の声を思い出した。
今何してる?
まだみんなで集まってて家に居ないのに気付いてないかも。
気付いたら心配されるんだろうな。
会えたら何て言おう。
朝には帰ると言っていた。
夜も明けてない今の時間はきっとまだ帰ってきていないはず。
私が家に居ないとわかったら、彼はどうするんだろう。
大丈夫、会える。
また抱き締めてくれる。
また名前を呼んで優しくキスして欲しい。
あぁ、でも高瀬さんにキスをされてしまった。
怒られるかな。
嫌われたらどうしよう。
彼のいない時間は長く感じる。
頭の中はこれからの事と彼の事でいっぱいになった。
(おかえり)
(嫌なことなかった?大丈夫?)
(疲れた?)
(さみしかった)
仕事でどんなに疲れても、嫌な思いをしても彼が待ってくれていて優しい言葉をくれた。
目を閉じて家の玄関を開けるといつもの様に彼がいる。
優しく笑っておかえりって抱き締めてくれて、それで、、、
やめよう。
思い出せば泣いてしまう。
この人に私の感情を見せたくない。
こんな生活、長く続くわけがない。
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あーりん(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!甘い二人が書きたい私としては早くこのシリアスを抜けたい所ですがしばしお付き合い下さい!笑 (2019年8月27日 21時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 更新お疲れさまです(^^)いつも楽しみに待ってます!シリアス展開なのに先が気になってワクワクしていますw更新頑張ってください! (2019年8月27日 16時) (レス) id: 08075475cf (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 怜莉さん» 楽しみに待って頂いているのがすごく嬉しいです!( ;__; )コメント頂けてとても励みになりますー!少しシリアスなお話が続きますがお付き合いよろしくお願いします! (2019年8月27日 15時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
怜莉(プロフ) - 更新ありがとうございます!いつも楽しみで、今か今かと待っていますw個人的になんで話数毎の評価ができないんだーーーーー!!!と嘆いていますwこの先の夢主ちゃんとセンラさんがどうなるか気になります!更新頑張って下さい!待ってます! (2019年8月27日 10時) (レス) id: 0408e10153 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ぷーさん» ありがとうございますー!これからもよろしくお願いします!あと、課題頑張って下さい!!w (2019年8月27日 1時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月8日 4時