255:センラside ページ34
「Aちゃん!」
名前を呼び続けてどれだけ走ったっけ。
それでも足を止められない。
脈打つ心臓は早いままだから。
これが胸騒ぎなのか、Aちゃんとの共鳴なのかわからないけど。
「センラ!」
呼ばれた声に上を向くとうらたんが降りてきて、どこにもそれらしい子はいないと聞きたくなかった言葉が掛けられた。
「もう丸一日経ってる、とりあえず家に戻ろう」
「、、、嫌や」
見つけるまで帰れない。
帰りたくない。
Aちゃんの居ない家なんて、帰ったって意味が無い。
「センラ、帰って考えよう。みんなも家にいる」
闇雲に探しても無理だと半ば無理矢理腕を引かれ家に連れ戻されてしまった。
いつもみんなが集まるとあんなに賑やかだったリビングは、いつもの面子が揃っているのに信じられないくらい重苦しい雰囲気だった。
「こっちはおらんかった、、、ごめん」
「俺も、、、すまん」
坂田と志麻くんが俯きながら言いにくそうに口を開くのに、何も返せない。
詳しく聞けば、姿が見えないのをいいことに近くのマンションは部屋まで入って見てくれたと言う。
「でも入れないとこもあって、、、」
「俺も」
昔とは違って文明が発達したせいか色々な電波で磁場が乱れる場所が多い。
歪んだ磁場が酷い場所は自分も入れなかった。
まだ完全に戻っていない妖力では尚更。
「センラさん」
「どうやった、、、?」
遅れて来た天月くんの顔に落胆するしかなかった。
誰も話せなくなったリビングに、時計の音だけが響く。
(ずっと一緒って、言ったでしょ)
勝手に契約したのに、Aちゃんはそう言って笑ってくれた。
約束したのに。
隣で眠るAちゃんを見て幸せにすると心に誓ったはずなのに。
俺は今何をしてるんやろう。
大きく拍動し続ける心臓でしか、Aちゃんの事を感じられない。
どこに居る?
何もされてへん?
怖い思いはしてない?
泣いてない?
呼び掛けても応えてくれない。
一人にしてごめんと謝らないと。
怖い事なんて無かった事にする位甘やかして抱き締めたい。
このまま会えないなんて有り得ない。
腕の中にあの子がいないと落ち着かない。
何があっても絶対探し出してみせる。
(センラ)
俺の名前を呼ぶ声が聴きたい。
少し照れて見上げる瞳が見たい。
俺からAちゃんを奪った奴を、絶対に許さない。
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あーりん(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!甘い二人が書きたい私としては早くこのシリアスを抜けたい所ですがしばしお付き合い下さい!笑 (2019年8月27日 21時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 更新お疲れさまです(^^)いつも楽しみに待ってます!シリアス展開なのに先が気になってワクワクしていますw更新頑張ってください! (2019年8月27日 16時) (レス) id: 08075475cf (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 怜莉さん» 楽しみに待って頂いているのがすごく嬉しいです!( ;__; )コメント頂けてとても励みになりますー!少しシリアスなお話が続きますがお付き合いよろしくお願いします! (2019年8月27日 15時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
怜莉(プロフ) - 更新ありがとうございます!いつも楽しみで、今か今かと待っていますw個人的になんで話数毎の評価ができないんだーーーーー!!!と嘆いていますwこの先の夢主ちゃんとセンラさんがどうなるか気になります!更新頑張って下さい!待ってます! (2019年8月27日 10時) (レス) id: 0408e10153 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ぷーさん» ありがとうございますー!これからもよろしくお願いします!あと、課題頑張って下さい!!w (2019年8月27日 1時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月8日 4時