妖たちと暮らす家６

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(もう終わっちゃう...)

日が長くなったけれど辺りはもう真っ暗で楽しかったデートが帰れば終わってしまう。
お昼前から遊んでいたはずなのにあっという間に感じた。
増えたショップの袋が今日どれだけ楽しかったかを物語ってる気がする。

「Aちゃん」

「なに？」

「センラに付き合ってくれる？」

「うん、、、」

帰ろうかと手を引かれてやだな、と拗ねた気持ちでいた私の顔を覗き込んだ。
どこに行くのか聞いても内緒、と教えてくれない。
それでもまだ帰らなくて済むことが少しだけ嬉しかった。

「ここまでお願いします」

とりあえず乗って、とタクシーに乗り込み彼は携帯の画面を運転手に見せた。

「わ、なに？」

「着くまでのお楽しみ」

大きな手のひらがふわりと両目を覆う。
行先の検討もつかない。
でも家に向かっているわけでもなさそうな雰囲気にどきどきした。

「目瞑っててね」

タクシー代を払うと彼は手を引いて降ろしてくれた。
もう開けていいよという声にゆっくり瞳を開くと目の前には超がつくほど有名なホテル。

「センラ？」

「今日はここにお泊まり」

行こう、と唖然とする私の手を悪戯に笑いながら繋いでスマートにチェックインを済ませて入った部屋に、また空いた口は塞がらなかった。

「え、、、？ここに泊まるの？」

「鍵もらってるやん」

くすくすとカードキーを見せて笑う。
最上階のロイヤルスイート。
あれ、今日誕生日だっけ？
何か特別な日？と思考はぐるぐるして今自分が立っている場所が信じられなくてその場から動けない。

「嫌やった？」

家の方がいい？と眉を下げた彼の顔に慌てて首を振った。

「違うの、こんな凄い所初めてだし泊まれると思ってなかったからびっくりしちゃって」

嬉しい、と手を握るとよかった、と笑顔になってくれた。

「すっ、、ごい部屋」

見渡しても今の部屋の何倍だろうという程の広さの部屋に装飾。
大きなガラス窓の向こうは夜景が一望出来てさっきまでデートしていた場所が小さく見えた。
さっき楽しく買い物していたビルすら、あんなに小さく見える。

凄い、と窓に張り付いて夜景を眺める私の肩に彼の手が置かれた。

「うわぁ、めっちゃ綺麗」

「家あの辺かな？」

見えないね、と見上げると瞳を優しくした彼の唇がすぐに落ちてきた。

「Aちゃんのこと、帰したくなくなっちゃった」

「、、、同じ家に帰るのに？」

可愛くないなぁと自分でも思う。
でも、同じ気持ちでいてくれた事が嬉しかった。

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