睡魔 ページ31
·
「……ここが、今日から君が暮らす寮だ」
硝子さんに案内され、やってきた大きな建物。
この学校は全寮制らしく、どうやら目の前にある広々とした部屋が私の部屋になるらしい。
備え付けられたベッドや家具。他にも、暮らすには充分な設備が揃っている。
「もう少しすれば、五条が戻ってくるだろう。詳しいことはアイツに聞いてやってくれ」
『はい、分かりました。態々案内までありがとうございます、硝子さん』
部屋を出ようとする硝子さんに向けて、軽い会釈と共にお礼を述べる。
彼女はその綺麗な顔でふんわりと笑うと、振り返ることなくその場を後にした。
大人の雰囲気が漂う、綺麗な人だったな……。
部屋の中を見渡しながら、私はぼんやりと考えた。
『はあ……やっと一息つける』
殺風景な部屋の中、持っていた荷物を下ろしベッドのふちに腰を下ろす。
安全な場所というだけありほっとしたのか、昨日からの疲れがどっと押し寄せてきたように感じる。
人生何が起きるか分からないとは、よく言ったものだ。
ここ一日のできごとなのに、ここまで来るのが随分長く感じた。
『……それにしても、眠いな』
このままベッドの上に背を倒せば、すぐにまぶたが閉じてしまいそうなほど酷い睡魔が私を襲う。
……そう言えば、私昨日からろくに寝てないんじゃないか。
意識が飛んだ最後の記憶は、確か病院で伏黒くんの治療を待っている時。
考えてみればそれ以来、仮眠すら取っていない。
通りで化粧ノリが悪いわけだ。睡眠不足はお肌の敵って、本当だったんだな。
__________“おい、小娘”
『……何よ』
ぼんやりした脳で考えていた時、頭の中でこだました声に意地悪く答えてやる。
じいちゃんの墓前の時は気のせいかと思って流していたけれど、最悪なことにどうやらこれは現実らしい。
《なんだ、やはり気付いていたか。俺の言葉を無視するとは、つくづく不愉快な娘だな》
つまらなそうに呟いたアイツの声に、私は全力で顔を歪めてやった。
·
1374人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いか焼き - 好きです!!! 最高すぎます、、、応援してます!今から2を読んできます!楽しみすぎる…! (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 宿儺の声が頭の中で聞こえたらワイある意味死んでう( ´ཫ`)って思いながら見ました←めっちゃ面白いです!!応援してます( ˃ ˂ ) (2022年1月25日 0時) (レス) @page31 id: dce21dc0b1 (このIDを非表示/違反報告)
古椎エゴ(プロフ) - Tomorrowさん» ご指摘ありがとうございます。変換ミスしていたみたいです!知らせていただき助かりました! (2022年1月24日 17時) (レス) id: c3c7b307dc (このIDを非表示/違反報告)
Tomorrow(プロフ) - コメント失礼します。とても面白くて何度も読み返してます!ところでなんですけど、祥子ではなく硝子だった気がします!間違えてたら申し訳ないです! (2022年1月24日 17時) (レス) @page30 id: 81fe567fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 面白いです!宿儺推しなのでこの話はとても好きです!がんばって書いてくださいね!応援しています! (2022年1月23日 23時) (レス) id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:瀛 | 作成日時:2022年1月22日 17時