▼み、見失った…。 ページ32
【アーサープロトタイプルート】
A
『あっ、先輩私も一緒に……、え?』
先輩達だけで行かせるなんて出来ないと、二人を追いかける。
しかし、二人が曲がった筈の階段には姿が見えない。
代わりに、物憂げに空を見つめる一人の青年が立っていた。
彼は振り向いて私を見つめると、にっこりと微笑んだ。
???
『おや…、お客人かな。』
A
『嘘……。』
4階に続く階段は、ある不可思議なことが起きるという。
特定の人間しか立ち入ることの出来ない、もう1つの階段がある。
そこには金髪の青年が立っていて、優しげに微笑むのだという。
彼に話しかけては駄目だ。
そもそも、彼を見ては駄目だ。
彼に会ったものは決して………。
A
『孤独の少年王、アーサー…。』
アーサー
『…君も私の名前を知ってるんだね?』
階段から、彼が降りてくる。
周りの音はしん…と静まり、人の声、影すら見えない。
A
『こ、殺さないで……。』
アーサー
『殺しはしないさ。』
笑っている。
笑ったまま、近づいてくる。
恐怖で固まったままの私の頬を撫で、彼はそのまま顔を寄せた。
アーサー
『君には………』
するっ……と彼の手が私の手を掴んだ。
アーサー
『私がここから出るのを手伝ってほしい。』
A
『…………は。』
※間
A
『地縛霊ーー!?』
アーサー
『そう、私は何故かここから動けない。しかもここは君の世界ではなく、一種の平行世界のようだ。』
がつんがつんと見えない壁に阻まれながら、アーサーは答えた。
やっぱり違う世界に来ちゃってたのか…。
それにしても、なんの弾みで私はここに来てしまったんだろう…。
アーサー
『それは、私が寂しいな…とか考えながらぼーっとしてるとたまに呼んでしまうというか…。』
A
『君のせいか!』
これは一大事だ…。
なんとかして現実に戻らねば……。
A
『君自身はここから出られる方法は分かっているの?』
アーサー
『…私は地縛霊だからね、きっと未練が無くなれば。』
出会った時と同じように、彼はまた空を見上げた。
アーサー
『…あそこに帰れるのかなと思うよ。』
A
『そっか…。じゃあ、それ手伝うよ。』
そこまで分かっていながらまだ彼が存在しているのは、未練が自分一人では果たせないから。
A
『ほら、君の未練は何?アーサー。』
アーサー
『A………。』
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てでん - 今更かもしれませんが……どちゃくそ面白かったです (2020年11月15日 0時) (レス) id: 210a21a08c (このIDを非表示/違反報告)
ラブさん - 孔明リリィとイチャコラ(健全) (2020年4月4日 13時) (レス) id: 794297709b (このIDを非表示/違反報告)
味噌汁 - ちょっとピンクな展開からギャグになるのが堪らなくおもしろいですッ!!!!!! (2019年12月18日 16時) (レス) id: 6a1031d99d (このIDを非表示/違反報告)
クレハ(プロフ) - とても今さら感がありますが…金平糖は南蛮貿易の時に入ってきたお菓子ですよ〜… (2019年6月2日 11時) (レス) id: de682292c0 (このIDを非表示/違反報告)
第一村人 - お疲れ様です!一気読みしたのですがとても素敵なお話で魅入りました!欲を言ってしまえば続編期待してます! (2018年6月24日 1時) (レス) id: 2f2b87b930 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九曜桜(クヨウザクラ) | 作成日時:2017年12月28日 13時