【刀ミュ】最年少の高校生男子は秋田藤四郎になりました

12 　(閑話)同志も時には敵 ページ14

『胃が痛い』


もう何度このセリフを言っただろう。

Ｑ.今日は一体何の日？
Ａ.新作公演の詳細が公表される日


『(胃が痛い…)』


公開予定時刻は十二時ぴったり。
あと残り五分といったところだ。
ううっ…なんで今回に限ってお昼なんだ
いつもなら夕方に発表されるのに！


『学校来なければよかった…』


公演が始まれば休むことになるからと
元気に登校してきたのが仇になった。


一蓮托生の仲間も、マネージャーの南さんも居ない今。
まさかここまで不安になるとは。


『どうしよ…怖い』


相応しくないと、役不足と言われるんじゃないか。
批判されるのが嫌なわけじゃない。仕方ないと分かっている。
けれど、それを一人で見るのはあまりにも怖すぎる。


『あと三十秒』


とにかく、せめてクラスメイトが誰も刀ミュを知らなければ
第一の危機は去る。
さっさとSNSを更新て、あとは稽古場まで絶対に開かなければいい。
よし完璧な戦略で、


「あ、新作の詳細出た！」

『！？』


非情！それは現実！
さすが今を時めくコンテンツ。そりゃあファンの一人や二人居るよなぁ
僕も数か月前までその一人だったわけだし。

騒がしくなったのは、クラスの女子グループだった。
ちらりとそちらを見れば、彼女達のバッグのいくつかに
見覚えのある缶バッジが付いているのが見える。

『(どう見ても石切丸さんだよなぁ)』


むしろなぜ今まで気が付かなかった。


「待っっっ 推し出るんだけど」

「顔良すぎん？」

「てか何て略すのこれ 時鳥？」

「しけちょー」


女子達は、メインビジュアルを見た瞬間に天を仰ぎ、スマートフォンを拝んだ。
気持ちは分かる。
でも、しけちょーはやめて。
その訳し方は分からない。
そして、出来ればそのまま気づかないで。推し見てて。


「嘘！ねえ秋田くんめっちゃ可愛いんだけ……え」


祈りは通じなかった。
彼女達は僕のことを凝視し、画面を3度見くらいした。
気まずすぎる。


『(SNS…更新しよ)」


出演決定のメッセージは、投稿した瞬間から爆発的にいいねがつき始めた。
今までほぼ動いていなかったアカウントに、フォロワーがどんどん増えていく。

嬉しいなぁ。

嬉しい…んだけども
ちょ、あの、そろそろガン見やめてくれないかな。
もう僕本体のことはいいからせめて僕のSNS見てよ。






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この後 秋田くんがトレンド入りするし
同時に 身長150cm までトレンドに入って頭を抱える

成長期は諦めてない。

13　ゲネプロ→←11　撮影

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