深海のヒヤシンス【影山飛雄】 (ページ36)

今日:32 hit、昨日:4 hit、合計:8,763 hit

33枚ページ36

「古部！」

それはいつものように放課後、皆がゲーム後の休憩をしていて、私がモップがけをしていた時。

休憩していたはずの澤村さんが私を呼んだ。

『あ、はい！』

何事だろうと近くに行けば、満面の笑みでこちらを見る澤村さんの隣で小さなダンボールを抱えた潔子さんがいた。

『えと…お2人してどうしましたか…？』

「実は、お前に贈り物がある。清水」

「うん」

そう言うと、潔子さんはダンボールを開けて、何やら黒いものが入ったビニールを渡してきた。

『なんですかこれ？…開けていいんでしょうか？』

「もちろん。ちょっと遅くなっちゃったけど…」

そのビニールを開けて、取り出した物はジャージだった。

しかも、後ろに大きく【烏野高校排球部】と書かれた
物が。

『え、これ……』

「古部も正式なバレー部のマネージャーだからな！」

『こ、これ本当に私が貰っていいんですか！？』

「良いに決まってんだろー！！よろしくな古部」

『西谷先輩……！！！…私、これ家宝にします』

「それは流石に……」

私と西谷先輩ではしゃいでいると、スガさんが苦笑していた。

「せーの！」

私が感激でジャージを見つめていると、突如澤村の声がした。

「「「ようこそ！烏野高校バレー部へ！」」」

顔をあげれば、皆がジャージを着た状態で背中を示す。なんとも烏野らしい歓迎方法だ。

『っ、これからもよろしくお願いします！！』

あー、私この学校来て良かった。バレー部に入って良かった。

だって＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿…こんなにも暖かい

「泣いてんのか？」

『泣いてない』

「泣いてるだろ」

『うるさい馬鹿』

「あ゛？んだと古部、もっかい言ってみろ！」

『何度でも言ってやるよばーかばか！！バ影山！』

「なんでお前ら顔合わせれば喧嘩すんだよ！！」

「何あれ、日向が仲裁役とか……うわ関わりたくな
い｣

「仕方無いよツッキー……ああなったら日向が1番
大変だろうけど……仲裁役って感じじゃないし…」

「お前らどっちも馬鹿馬鹿言ってると頭カバに
なるぞ！！」

『「あ？」』

「日向も2人と殆ど同類だから」

「……めんどくさ」

そんな会話がされている事も露知らず、私は影山と言い合いをしていた。

取っ組み合いになる直前で澤村さんに怒られたけど。