深海のヒヤシンス【影山飛雄】 (ページ31)

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ゲームの間、私はボールを拭いていた。

あ、このボール空気少ないな…

にしてもゲームをこんな至近距離で見れる幸せ。
入院してる時は全部テレビで見てたから嬉しい。

こう、迫力とか、熱気とかブワァッて来るよね。

あー、今日も飛雄のトスキレッキレだなぁ。サーブも調子良いし。かっこええなぁ……！

…ハッ、やべよそ見はいかん。ちゃんと仕事しないと！！

「危ないっ！！」

そんな澤村さんの声がした。

え、危ない？誰が……

目の前を向くと、物凄い勢いで私の方にボールが向かって来た。

あ、ヤバい当たる＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

って事になってたまるかボケェ！！
私の反射速度舐めんじゃねぇぞ！！！

サッとボールを避けた。

「おお！！」

「古部ナイスー」

へへっ、どんなもんだい！

が、今度は飛雄の焦った声が聞こえた。

「馬鹿お前動くなっ！！」

『え？なに＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿』

盲点

そうだ、私今ボール磨きしてたんだ。

足を踏み出した事で、床に置いていたボールを思いっきり踏んでしまい勿論転ぶ。

勿論盛大に。

……これなら、さっきボールに当たって倒れた方が良かった。自分で置いたボールに躓くとかどんな羞恥プレイ？

はっっっず

「わぁぁあ古部ぇぇええ！！！」

「だ、大丈夫か！救急車呼ぶか！？」

なんか日向とか田中さんが騒いでるのが聞こえる。

「Aちゃん！大丈夫？……痛むところは？」

潔子さんが起こしてくれた。まじ女神。

『いえ、大丈夫でっ………

あー、足捻りましたこれ』

そりゃあボール踏んだから…

すると、座り込む私に影が落ちてきた。

……見上げると、そこには怒った表情の飛雄が……

『あ、影山……』

「何してんだお前」

『うっ、……ごめん、練習の邪魔したね……
あ、私の事は気にせず練習してて！！』

「あ゛？何言ってんだお前、怪我してんのに
ヘラヘラしてんじゃねぇボケが！！」

『ん？』

舌打ちをした飛雄は私の腕を掴むと立ち上がらせる。
何が何だか分からない私の腕は飛雄の首に掛けられ、負担がかかりずらい体制となる。

……え、え？なんじゃこりゃ。
あ、成程？今からプロレスしようってか！((

「俺、保健室にこいつの事運ぶんで、練習再開
してください」

「「「『え？』」」」