深海のヒヤシンス【影山飛雄】 (ページ15)

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えー、こちら本日登校初日で男バレのマネに勧誘された自称超絶美少女こと古部Aでございます。

そんな私、体育館の前で胃が痛くなってきたため早急に帰りたい。

「えっ、顔真っ青だけど！？」

『う、大丈夫……今日最大のイベントに胃が
震え出してるだけだから…』

「そっか！じゃあ行こ！！」

日向くぅーん？？？？君は鬼畜か？？？？
目の前で女子の顔がブルーベリーになってんだぞゴラ

だがそんなテレパシー伝わる訳もなく、ガラッと扉は開かれる。
アイツまじ覚えとけよ。

キュッ

バレーシューズの音

そして…

＿＿＿＿＿＿＿バンッ

完璧なフォームで決められたジャンプサーブ

それはスローモーションで私の目に見えた

「くっ、相変わらず上手い……」

「日向おせーぞ！！」

「ちょっと用事があったんですー」

目の前にいる彼は、一時も忘れなかったあの子の面影がどこか残っていて…。

まさか、この烏野で再開するとは思っていなかった私は声も出せずに彼を見つめる。

「……古部？どうしたの？？ま、まさかまた具合
悪くなった！？？」

日向が心配してくれるが、返事をする余裕なんてない。

飛雄、

そう名前を呼ぼうとした時だ。

「おい日向、こいつ誰だ？」

_____なんだろう、フライパン、岩で殴られた様な気がした。

こう、ガツンと。

「俺と同じクラスの古部！バレーに興味あるらし
マネの見学ってことで」

「マネ？」

そうだよね、もう8年も前の事。会ってたのはほんの数ヶ月だし、覚えてなくても仕方ない…か。

『初めまして、バレーのルールは知っていますが、
マネの経験はありません。とりあえず見学って
ことでよろしくお願いします』

ちょっと顔が歪みそうだから、出来るだけ笑顔で。
改めて仲良くなれれば良いよね……。

初めましてからでもきっと_____。

そう思ったのにだ。

「……おいお前、お前がバレーが好きなのは勝手だ。
でも、そんなヘラヘラした奴はこの部に要らねぇ
よ。半端な気持ちでやられんのは迷惑だ」

『…は？』

「部員目当てだかなんだか知らねぇけど、一緒に
居られんのはウザい」

その目に私はどんな風に移っていたのだろうか。