35話。 ページ4
はあ…と吐息が漏れる。
俺は無我夢中で走っていた。
日頃、しっかりと運動していなかったせいか、
足が疲れたし、汗が滴り始めた。
ふと、疑問に思ったことがある。
「カラ松は十四松を呼んで、何をしたいんだ?」
十四松じゃない奴らでも、正直、いいと思うが。
それか、俺と彼奴だけでもいいんじゃないのか?
「(俺が頼りないからとか、
しょうもない理由だったら、絶対殺す…。)」
彼奴の目、どう見ても本気だったな。
あれが彼奴の怒りかとつくづく思ってしまうほど。
あんな痛い奴のあの目が豹変するなんて…。
俺は身がぶるっと震えた。
「まあ、とにかく、急がないと…。」
身の震えは深く考えないようにし、
俺は帰路を鈍い足取りでかけた。
玄関の戸に少し隙間が開いてある。
これは人が家にいるという証拠だ。
戸を勢いよく開ける。
目の前の居間には誰もいない。
なので、俺はダダッと階段を駆け上がった。
バンという大きな音が部屋に響いた。
「一松兄さん!?どうしたの?」
残りの兄弟の殆どが二階に居座っていた。
「十四松はいる…!?はあ…はあ…。」
走り疲れて、あまり上手に喋れない。
「ここでっせ〜!」
十四松が元気よく手を挙げた。
「十四松…実は…。」
息切れしながらだったが、
十四松にだけ大切な要件を話した。
「女の人…。まさか…!!」
十四松も血相を変えて走っていく。
俺の頭の中は疑問ばかりで、
今にもそれらで埋め尽くされそうだ。
「あ、待て!十四、…!」
またもや、行く手を阻まれた。
だが、そういう時、
必ずしも真剣な眼差しを向けているというのに、
彼だけは違う風に見えた。
「なんで…。おそ松兄さん…?」
「一松。お前は深く考えないで、いいからな?」
そう言って兄さんはいつもみたいに、
にこっと笑った。
いつもの笑顔なのに…。
いつもと同じ声なのに…。
この瞬間だけ、ひどく尖った針のような空気感を
漂わせているかのようだ。
なんだか、恐ろしい…。
兄さんには逆らえない何かがある。
そう悟ったのはこの瞬間だったのかもしれない。
「ねぇ、俺には何か出来る事はないの?」
ぼそりと呟いた時にチョロ松兄さんと目があった。
俺はふと視線を左下に向けた。
どうすれば、いいかなんて…。
誰かになんか聞いてどうするんだよ。
暫くの間、沈黙が続いたが、その後、おそ松兄さんは、どこかへと出かけてしまった。
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ももまつ(全松girl)@低浮上気味(プロフ) - 依愛(いあ)@あるぷすいちまんじゃく。さん» お「え、俺のこと好きなの///?え、嬉しい///ありがとう///」もも『あれぇ?いつもなら結婚して!とか言うのにどーしたのかなぁ?あらら、耳が赤いけど?』お「うるせー!俺だってさぁ、真面目に考えるし///」 (2019年5月2日 21時) (レス) id: c97f3faa63 (このIDを非表示/違反報告)
依愛(いあ)@あるぷすいちまんじゃく。(プロフ) - ももまつ(全松girl)@低浮上気味さん» 可哀想だけど、ごめんおそ松!実はそういうところも好きなんだよね笑。とんだ茶番ですね笑笑。 (2019年5月2日 21時) (レス) id: 0d2970c678 (このIDを非表示/違反報告)
ももまつ(全松girl)@低浮上気味(プロフ) - 依愛(いあ)@あるぷすいちまんじゃく。さん» お「え、なんかお兄ちゃんの扱い酷くない!?依愛は優しい?けど…。お兄ちゃん寂しがってるよ?」もも『ごめん!ももまつさんはどーでもいいかなー!アハハハハハハハ』 (2019年5月2日 21時) (レス) id: c97f3faa63 (このIDを非表示/違反報告)
依愛(いあ)@あるぷすいちまんじゃく。(プロフ) - ももまつ(全松girl)@低浮上気味さん» そうなんですね笑。おそ松推しなんで凄く嬉しいです!頭にたんこぶをつけたおそ松が想像出来ちゃいますね笑。 (2019年5月2日 21時) (レス) id: 0d2970c678 (このIDを非表示/違反報告)
ももまつ(全松girl)@低浮上気味(プロフ) - 依愛(いあ)さん» 最初のところは私の小説のおそ松ですw私が殴っときました!(⌒∀⌒ )アハハハハハ (2019年5月2日 21時) (レス) id: c97f3faa63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:依愛(いあ)@あるぷすいちまんじゃく。 | 作成日時:2017年1月16日 21時