【おそ松さん】お前らがいる限り、元には戻れない。２

32話。 ページ1

皆と久々に会った日の夜。
私は何とも懐かしい夢を見た。


「なんで、こんな夢を…。」

随分と長い眠りだった気がする。

だが、時計の針は
いつも通りの朝の時間を指していた。

随分と懐かしい記憶を思い出してしまったな。



「ゆーびきりげんまん…か。懐かしい。」

私はそう言って、小指を動かした。


「さーて。最後の休みを満喫するぞー！ん？」

スマホの通知が数十通以上溜まっていた。
昨日の夜はこんなものはなかったはずだ。

しかも、全部マネージャーからだ。



「『今日は重要な仕事が入ったから、
至急、事務所まで来るように。』？」

私はぽかんと口を開けた。


「はあ！？」

そんなこと聞いてないんだけど！
ちょっとマネさん…！

私は急いで着替えて家を飛び出した。


事務所にて。

「ごめんね、沙織ちゃん！
言うの忘れちゃったの！
でも沙織ちゃんがこれやって喜ぶやつだから…！」


「反省して下さい。」
「はい…。」


この人はマネージャーの片桐さん。
性格は少しトト子ちゃんと似ている感じだと
思ってくれればいいだろう。

つまり、厄介な人なのだ。


「ところで、仕事って何なんですか？」

片桐さんはふふっと何処かムカつく笑みを浮かべ、こう言った。


「貴女とにゃーちゃんの
合同ライブが決定したわ。」



「れいかとライブ？本当に！？」

私は一気にテンションとやらがあがった。


れいかとは、地下アイドルのにゃーちゃんこと、
橋本れいかのことである。

歌手界の中で出逢って、
始めて意気投合した子が彼女なのだ。


私はすぐさまスマホを片耳に寄せ、電話をかけた。


「もしもし。」

「もしもし、れいか！？
今度一緒に合同ライブだってさ！」

「ちょっと落ち着こうか。」

れいかは声を低くさせていた。


私達は時間を忘れ、
無我夢中で電話越しに話をする。


「でね。こんな感じで昨日は結構楽しかったの。」
「私ね、この前は大変だったんだよ？」

れいかが言ったのはこんな感じのことだった。

ライブにいつも来てくれる緑色の服を着た人の、
兄弟らしい赤パーカーの人が、れいかの前で、
色々とやばい発言を繰り返し言っており、
最後には喧嘩するわで…。
れいかが失神しちゃったらしい。


「へえ…悲惨だったね。」


赤と緑が、喧嘩か…か。

れいかが言っていた言葉が
少し心の奥の方で引っかかっていた。


なんでこう言う時に限って、
気になっちゃうのだろうか。





昨日目撃したからなのかな…。

33話。→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す