58、噂話で本音を知る ページ8
いつものように、茜と美香とお弁当を食べている時だった。
私の様子をチラチラ見ていた美香が、タイミングを見計らうように話し始めた。
「聞いた…?
川島に彼女が出来たって話」
心臓が、ドックン!と音を立てた。
「……え?」
川島に
彼女が出来た……?
「川島と同じ高校に行ってる友達から聞いたんだけどね」
話し続ける美香の声が
「川島の学校のサッカー部って人気があるらしくて、応援にくる女子がたくさんいるらしいんだけど。
その中でも一番可愛い女の子と、川島、付き合ってるらしいよ」
どんどんぼやけてくる。
「……A?」
黙ったまま動かない私を、茜の心配そうな目が覗いた。
「……えっ、あ!大丈夫大丈夫!
ちょっとー、私と川島が付き合ってたのなんていつの話だと思ってるのよ」
バクバクする胸。
少し震える指先。
気付かれないように大袈裟に笑った私に、美香が安堵の顔を見せた。
「良かった〜。そうだよね、Aもさすがにもう吹っ切ってるよね。
や、なんかね?聞いた話によると、川島、彼女にすごい夢中になってるみたいでね。
家も反対方向なのに、毎日彼女を家まで送ってるらしくて!あの、川島が、よ!?信じられないよねぇ〜!」
ただの、噂話。
ただの、笑い話だった。
美香や茜と一緒に「信じられなーい!!」って、笑うべきところだった。
なのに
「…え、うそっ、ごめん!!」
「A……」
止められなかった。
頬を伝う涙が、止まらなかった。
川島が…、
川島が、私の知らない女の子に恋をしている。
忘れかけていた感情が
苦い痛みが
一気に押し寄せて来る。
「……っ、」
嗚咽が混じる自分の声に、心の中にしまい込んだ本音が溢れ出す。
私、川島のこと
全然忘れてなんかいなかった。
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ユチコ(プロフ) - Blueheartさん» コメントありがとうございます!嬉しい〜( ;∀;)更新頑張ります〜☆ (2018年7月29日 16時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 更新頑張ってください! (2018年7月26日 18時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月16日 12時